共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2022年3月

人口減少社会における世代間の自助・共助に関する研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
18H00865
体系的課題番号
JP18H00865
配分額
(総額)
11,180,000円
(直接経費)
8,600,000円
(間接経費)
2,580,000円

本年度は、近年のわが国の状況に関して具体的な資料を調べることをまず行った。世代間の居住地選択の影響については、以下のような現象を確認した。例えば、近年重視されている女性の労働参加に関するM字カーブの改善に関して、大都市部では非正規雇用が主であるのに対して、地方部では正規雇用が相対的に多い。その理由としては、通勤時間の違いだけでなく、両親との同居や近接した居住の影響が指摘されるなど、世代間の居住地の差異が労働市場へも大きな影響を与えている。また、近年開発が加速している自動車の自動化についても、今後居住形態に大きな影響を与えることが予想されるので、関連する資料を収集しながら実態を確認する作業を行った。とくに、自動運転の普及は、MaaSと呼ばれる交通システムの統合ないしシェアリング・エコノミーの急激な進展をもたらすと思われる。つまり、現在のように個々の家計が自家用車を保有するのではなく、「無人タクシー」を共有する社会が2030年前後には現出する可能性が高い。これにより、通常の駐車場は不要となり、土地需要が低下し地価の下落が起こる可能性が高い。また、高齢者の病院や買い物のアクセスは保証されることとなる。このような移動技術の変化が世代間の居住地選択へ与える影響も、研究課題の一つと思われる。
理論的な分野については、関連する研究をすでに進めていた玉井がTamai and Kamiguchi, 2018を公刊したこともあり、当該論文を中心に他のメンバーと議論をする機会を設けた。また、黒田と宮澤は、わが国の労働市場で課題となっている高齢者の労働期間の伸びが、出生率や孫世代の育児補助へ与える影響などを検討するための世代重複モデルを試作した。相浦は行政区域を跨いだ医療サービスのあり方を理論的に検討しており、今後は世代間の居住地選択への影響について拡張する予定である(Aiura, 2018)。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18H00865
ID情報
  • 課題番号 : 18H00865
  • 体系的課題番号 : JP18H00865