2018年4月 - 2021年3月
自律振動する超分子機械を創って理解する
日本学術振興会 科学研究費助成事業 特別研究員奨励費 特別研究員奨励費
筋肉の収縮・弛緩や、精子の鞭毛運動など、生物が繰り返し発生する力や振動運動は生物分子モーターという素子の集合体によって引き起こされている。過去の研究から,一分子の生物分子モーターではブラウン運動様の弱い運動しか起こせず,これらが集まって多分子化することで初めて機能を発揮できることが分かってきた。この協同現象のメカニズムを明らかにするために、本研究では、すでに性質が良く分かっている最小限の生物材料を使って実際に鞭毛のような「機械」を創ることで、各々の素子がどのような特性を持つときにどのような創発が可能であるかという対応関係を調べることを目的としている。具体的にはDNAナノ構造体をテンプレートとした高精度タンパク質配置技術を利用して、鞭毛運動の駆動素子である生物分子モーター、ダイニンを一定間隔で配置し、鞭毛の構造をまねたミクロン以下のサイズのアクチュエータ―を試作する。このアクチュエータ―が発生する駆動力を、素子の種類や間隔を変えて光ピンセットと呼ばれる装置で計測することで、鞭毛による自律振動の発生・制御メカニズムの本質に迫りたいと考えている。本年度は、鞭毛ダイニンをDNA上に整列させるために、特異的な結合タグ付きのダイニンの組み換え体を作製した。鞭毛運動研究のモデル生物であるクラミドモナスの変異体を用い、これに外部から遺伝子を導入する方法で、鞭毛外腕ダイニン複合体の一部にタグを導入した。このタグを用いて、ダイニンを鞭毛から精製することに成功した。
- ID情報
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- 課題番号 : 18J40041
- 体系的課題番号 : JP18J40041