論文

2017年11月

看護師の仕事と在宅介護の両立・継続に関する研究 仕事と介護の両立のアンビバレンスを焦点に

ヘルスサイエンス研究
  • 松本 明美
  • ,
  • 赤石 三佐代
  • ,
  • 橋本 幹子

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1
開始ページ
3
終了ページ
13
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
ぐんまカウンセリング研究会

本研究は、仕事と在宅介護を両立する看護師の実態及び仕事と在宅介護の関係性を明らかにすることを目的とし、中規模病院及び介護老人保健施設の看護職、約1,000名を対象に自記式質問紙留め置き(一部回収)調査法を実施した。調査内容は、就労状態、介護状況、自己肯定感、健康状態、介護負担・肯定感などであり、記述統計及び因子分析、重回帰分析を行った。結果、605名返信回答(回収率65.4%)、有効回答598名、内介護経験者82名(13.7%)となった。在宅介護経験者の属性として多く見られたのは、40〜50代の女性、勤続経験年数10年以上、常勤で交代勤務であり、介護状況は自身の親が最も多く、介護期間は1年未満、同居介護が約7割、要介護度は要介護3〜5が多く、認知症が約半数で、3割がなんらかの医療を在宅で行っていた。在宅サービスの利用状況は、デイサービス(デイケア含む)、ショートステイとなり、自身の行った介護内容はおむつ交換が多かった。探索的因子分析では、「肯定的仕事意識」「自己肯定」「仕事困難」「生活充足」「社会生活制限」「要介護者否定」「介護依存」「介護肯定」「家族協力」「要介護者肯定」「介護効力感」の11因子が導き出された。「仕事困難」を従属変数とした重回帰分析の結果では、「介護者否定感情」に因果関係が認められ、「介護負担得点」を従属変数とした重回帰分析の結果では「家族協力」との因果関係が認められた。これらより、看護の仕事と在宅介護を両立・継続することは、多くのネガティブな側面がある反面、ポジティブな側面も同時に存在するなどの看護師独自のアンビバレンスが明らかになった。現状はネガティブな側面が強く流出し、仕事困難感や介護困難感に繋がっていると考えられた。看護師は、これらのアンビバレンスな思いを抱え、看護の仕事と在宅看護をバランスをとりながら、いかに安定した両立・継続ができるかが支援課題となることが示唆された。(著者抄録)

ID情報
  • ISSN : 1343-3393
  • 医中誌Web ID : 2018122137

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