論文

2013年11月

疾患をもつ一人暮らし高齢者の生活に関する研究 生活不安の要因及び生活の継続性の検討

ヘルスサイエンス研究
  • 松本 明美
  • ,
  • 橋本 幹子

17
1
開始ページ
21
終了ページ
28
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
ぐんまカウンセリング研究会

本研究の目的は、疾患をもつ一人暮らし高齢者の日常生活の現状を知り、一人暮らし高齢者の抱える生活不安の要因を明らかすること、併せて、一人暮らしを継続させるにはどのような支援が必要かを検討することである。住み慣れた地域での自立した生活をめざし、継続性の視点からの生活支援について考察を深め、今後の高齢者支援の在り方を検討する基礎資料とする。研究方法は、質的研究デザインである。研究対象は、一人暮らし高齢者で、医療機関に通院しているものとし、個別訪問によるインタビューガイドを用いた半構造化面接法を実施した。分析方法は、インタビューから逐語録を作成し、Krippendorff(2004)の内容分析の手法を用い、生活不安に関連する内容を抽出した。内容分析は、研究者間で繰り返し検討を行い、信頼性と妥当性の確保に配慮した。結果、研究参加者は11名(男性2名、女性9名)、年齢:79.2±10.8歳、持っている主な疾患:高血圧、糖尿病であった。生活不安の構成要素は、【健康への不安】【緊急時に対する不安】【孤立化に対する不安】【将来に対する不安】【経済的不安】の5つと、生活を支える要素として【生きがいと楽しみ】【人とのつながり】【生活に対する自立心】【健康への自信】【生活信条】など合わせて10の構成要素にカテゴリー化された。疾患をもつ一人暮らしの高齢者が自立した生活を継続させるためには、様々な不安の要素が脆弱性を招く因子となる。これらの不安を軽減させるとともに、キーパーソンの存在と支え、地域との絆や関係の深さ、疾患の程度と医療との繋がり、サービスの利用度などが鍵となることがわかった。今後の生活支援として、元気高齢者のうちから継続的に関わりや、かかりつけ医や地域包括支援センター、民生委員などとの地域と密着したケアの展開が示唆された。(著者抄録)

ID情報
  • ISSN : 1343-3393
  • 医中誌Web ID : 2014076734

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