論文

2011年10月

BPSDを表出する認知症高齢者の看護 攻撃的行動に対する看護師の捉え方とケア

ヘルスサイエンス研究
  • 松本 明美
  • ,
  • 赤石 三佐代

15
1
開始ページ
33
終了ページ
38
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
ぐんまカウンセリング研究会

認知症高齢者が増えるなかで、認知症高齢者のケアは様々な課題を抱えているが、そのひとつにBPSDを表出する認知症高齢者のケアがある。本研究の目的は、思うように意思表現できないBPSDを表出する認知症高齢者で、特に「攻撃的行動」を示す認知症高齢者に着目し、その攻撃的行動について看護師はどのように認識し、その行動に潜在化した意思をどのように捉えているかを明らかにしていくことである。研究方法は、認知症高齢者の経験のある看護師5名にインタビューを行い、質的に内容を分析した。その結果、BPSDの攻撃的行動には「不満」、「怒り」、「自己防衛」、「寂しさ」、「不安」の5つの潜在化した意思があると看護師が捉えていることが明らかになり、言葉で十分に表現できず、悪態などの暴言、他の患者やスタッフに暴力的な行動として表出していると考えられた。また、ケアのあり方については、「本人の理解」、「安心」、「尊厳」、「協働」、「生活の修正」の5つの方向性と、「ケアの困難感」の6つの考えが明らかとなった。考察では、BPSDは意思表現のひとつと考えることがケアの一歩であり、決して意思のない存在ではなく、表出されているあらゆるものから本人の意思を確認していくことが重要であるという「認知症高齢者の尊厳を支えるケア」の方向性が示唆された。(著者抄録)

ID情報
  • ISSN : 1343-3393
  • 医中誌Web ID : 2012089008

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