2019年4月 - 2024年3月
浄土教関連和歌の総合的研究
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
本研究は、浄土教関連の僧侶・聖の和歌史を構築するものであるが、2019年度は、西行・慈円・他阿を中心に進めた。(1)西行については、口頭発表「西行歌における月と闇」(西行学会タリン大会、2019年7月)を行った。前稿「月を見て西方浄土を思う和歌―西行歌の位相―」(『西行学』8、2017・8)は浄土信仰と「月」をめぐる表現史における西行和歌の位置に関する論文であったが、その続編として西行の「月に引きつけられる心」を詠んだ和歌の独自性を検証した。2020年度に論文化して発表する予定。また、昨年度の口頭発表「西行「庶民詠」の行方」(名古屋大学国文学会、2018年12月)は、庶民の罪をうたう歌の系譜を考えたものだが、聖の和歌史を考える際に、「罪」を詠むことの問題は中心的な課題であり、論文化に向けてさらに追加の調査を行った。(2)慈円については、「『慈鎮和尚自歌合』の表現世界―俊成各社判詞末七首を起点として―」(HERITEX Vol.3、名古屋大学人文学研究科人類文化遺産テクスト学研究センター編、2020年3月)を発表した。『慈鎮和尚自歌合』全体のモチーフに「心の闇」を照らす西方浄土におもむく「月」があることを指摘したもので、これも浄土信仰と「月」の表現史の分析の一部を担うものである。(3)他阿については、『他阿上人法語』および『他阿上人家集』の注釈、現代語訳を進めた。(4)その他、講演「釈教歌の世界」(本気会野沢セミナー、2019年8月)を行った。浄土信仰に関わる和歌を含めた釈教歌の表現史を概説したものである。
以上今年度は、浄土教関連和歌における「月」の表現の分析について特に成果があった。
以上今年度は、浄土教関連和歌における「月」の表現の分析について特に成果があった。
- ID情報
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- 課題番号 : 19K00352
- 体系的課題番号 : JP19K00352
この研究課題の成果一覧
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論文
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上智大学国文学科紀要 (40) 49-76 2023年3月
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西行学 (13) 128-137 2022年9月 査読有り
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中世文学 (67) 100-110 2022年6月 査読有り
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国語と国文学 98(11) 19-32 2021年11月 招待有り
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西行学 (12) 92-103 2021年10月