共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2024年3月

物語における日本語と英語の証拠性の使用の揺れに関して

日本学術振興会  科学研究費助成事業 若手研究  若手研究
  • 高島 彬

課題番号
20K13041
体系的課題番号
JP20K13041
配分額
(総額)
3,380,000円
(直接経費)
2,600,000円
(間接経費)
780,000円

本研究の目的は、「証拠性(Evidentiality)」を表す日本語と英語の表現の使用実態を調査し、それらの使用にはどのような動機づけがあるのかを認知言語学と物語論の理論的枠組みを援用して明らかにすることにある。具体的には、日本語と英語の対訳のある小説から言語データを抽出し対訳コーパスを作成し、小説に現れる証拠性の使用について日本語と英語の対照研究を行う。この研究の見込まれる成果として、物語の構築とその解釈において証拠性が与える影響を理論的枠組みによる説明だけでなく、量的なデータを提示することによる、より実証的に提示することができると考えている。
本研究の2年目にあたるR3年度は当初の計画通り、理論的枠組みの検討を主な目的とし、並行して日英対照研究のための対訳コーパスのデータ収集を行った。本年度は、小説の対訳において、日本語の証拠性の「推論」の意味に対応する英語表現に直喩表現が使用されることに注目し、認知言語学の観点からなぜそれら二つの形式が対応関係にあるのかについて研究を行った。これまでの通言語的な研究では、証拠性と認識的モダリティとの関係が論じられることが多かったが、本研究では証拠性と認識的モダリティとの関係以外に、証拠性は比喩表現との関係があることを示し、その動機付けを認知言語学の観点から論じたという点で一定の学術的価値があると考えられる。
本年度の研究成果の一部を学術論文として2022年度に刊行される論文集に掲載される予定である。一方で、対訳コーパス構築のためのデータも集まってきてはいるものの、コロナウィルスの関係で人手を集めることができていないため、予定よりも進捗状況は遅れており、次年度では人手を集め、より多くのデータを収集する必要がある。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20K13041
ID情報
  • 課題番号 : 20K13041
  • 体系的課題番号 : JP20K13041

この研究課題の成果一覧

論文

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