共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年4月 - 2022年3月

Tremor震源近傍の異常構造の定量的評価に基づく、スロー地震断層の新しい描像

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
19K04010
体系的課題番号
JP19K04010
配分額
(総額)
4,420,000円
(直接経費)
3,400,000円
(間接経費)
1,020,000円

今年度前半は、海底地震計ネットワークデータから、浅部Tremorを包括的に検出する手法について検討し論文にまとめた。まず既存手法の二つの問題点を明らかにした。一つ目は、これまでの地震波速度構造を仮定した手法では、プレート境界の激しい3次元構造の影響を強く受けているTremorを検出できずに取り逃していること。二つ目は遠地地震のシグナルが時折Tremorとして誤検知されていること。これらの問題を解決するために既存手法を修正した。その手法を、約一週間分の海底ネットワークデータに適用して、既存手法と比べてTremorの検出能力が改善されたことを示した。
今年度後半は 「Tremorの長いシグナル継続時間を成因としての、スロー地震断層の液体包有物」のタイトルで論文をまとめた。Tremor震源から極めて近い距離(< 10km)に設置された海底地震計記録から、独自に見出した”異常Tremor波形”について報告した。これらのTremorが示唆する震源近傍の異常構造について、地震波伝播シミュレーションを実施して検討した。異常Tremor波形の特徴は、震源近傍に液体包有物を点在させることにより説明できることを示した。この構造モデルは、近年南海トラフ掘削プロジェクトにおいて地質学的な観察に基づき提案されたTremor震源近傍構造とも調和的である。またこれまで、Tremorの長いシグナル継続時間は、普通地震とは異なる長い震源プロセスに起因すると考えられてきた。しかし、二つの地震が、単にそれらが発生する場の違いにある可能性を示した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-19K04010
ID情報
  • 課題番号 : 19K04010
  • 体系的課題番号 : JP19K04010