MISC

2018年5月

アレルギー性結膜炎に対するオメガ3脂肪酸の効果の検証

脂質生化学研究
  • 平形 寿彬
  • ,
  • 李 賢哲
  • ,
  • 大塲 麻衣
  • ,
  • 佐伯 和子
  • ,
  • 奥野 利明
  • ,
  • 松田 彰
  • ,
  • 村上 晶
  • ,
  • 横溝 岳彦

60
開始ページ
34
終了ページ
36
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
日本脂質生化学会

アレルギー性結膜炎は世界中で罹患率の最も高い眼科疾患の一つであり、近年増加傾向にある。喘息やアトピー性皮膚炎と同じヘルパー2型T細胞(Th2)が関連するアレルギー疾患であり、アレルギー性結膜炎患者では結膜充血、眼脂、そう痒等の症状によりQOLが大きく損なわれる。今回我々はアレルギー性結膜炎に対するオメガ3脂肪酸の抑制効果について、ブタクサ花粉誘発アレルギー性結膜炎マウスモデルを用いて検証した。餌は4%亜麻仁油含有食(オメガ3脂肪酸食)と4%大豆油含有食(コントロール)を用いた。オメガ3脂肪酸摂取マウスではクリニカルスコアの低下及び、引っ掻き行動の減少を認めた。また、結膜への好酸球浸潤もオメガ3脂肪酸摂取マウスで減少した。しかし、結膜組織中のTh2型サイトカイン・ケモカインの発現量、及び血清IgE値はオメガ3脂肪酸食とコントロール食マウス間で差がなかった。結膜組織中の脂質メディエーターを質量分析で測定したところ、アラキドン酸由来のプロスタグランジン類、トロンボキサンB2、ロイコトリエンB4などの炎症性脂質メディエーターの著しい減少がオメガ3脂肪酸摂取マウスで観察された。以上より、オメガ3脂肪酸食はTh2免疫応答そのものへは影響を及ぼさず、脂質メディエーターの産生を抑制することによりアレルギー性結膜炎の症状緩和をもたらすことが予想された。アレルギー性結膜炎の治療にオメガ3脂肪酸経口摂取が有効である可能性が示唆された。(著者抄録)

ID情報
  • ISSN : 0285-1520
  • 医中誌Web ID : 2018308185

エクスポート
BibTeX RIS