共同研究・競争的資金等の研究課題

2000年 - 2001年

共振型重力波アンテナ用光学トランスジューサの開発

日本学術振興会  科学研究費助成事業  基盤研究(C)

課題番号
12640298
体系的課題番号
JP12640298
配分額
(総額)
1,200,000円
(直接経費)
1,200,000円

アインシュタインは一般相対性理論を構築したとき、重力波の存在を予言した。重力波の間接的観測は20世紀後半中性子星連星のパルス信号周期の時間的変化からなされているが、重力波の直接検出は未解決で21世紀物理の大きな物理題の一つである。
我々は昨年から重力波アンテナの一つである低温共振型の重力波アンテナの開発を目指して、その重力波信号検出のためのトランスジューサの開発を始めた。振動検出素子として光学干渉計、SQUID、ピエゾ素子、静電容量型素子等を調べた。信号データ収集のため、Lab-viewを導入しコンピュータ制御が可能になった。
一方、上記研究と平行して、重力波研究の基礎研究も始めた。イタリアのパドバ大学の重力波アンテナ研究グループと共同で素粒子の重力モーメントとその存在の可能性について議論した結果、電磁場の多重極展開から素粒子が電気双極子モーメントや磁気双極子モーメントを持つように、重力場の多重極展開から重力電気双極子モーメントや重力磁気双極子モーメントの存在が予言された。前者のモーメントは一般相対性理論の前提となっている等価原理の破れが存在するときに現れるタームで、後者はアインシュタインが1916年に一般相対性理論を提出したすぐ後、Lense-Thirring達によって予言された、回転する重力質量が生み出す重力磁気に関係したタームである。特にLense-Thirring効果はFrame-Drugging効果とも呼ばれ、地球の自転や中性子星やブラックホールのような天体の運動によっても発生すると期待されるので、人工衛星や天体観測によってその在を確かめようとする努力が世界各地で始まっている。しかし、スピンを持つ素粒子にそのようなモーメントの存在を予言したのは我々が最初であろう。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-12640298
ID情報
  • 課題番号 : 12640298
  • 体系的課題番号 : JP12640298