基本情報

所属
国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 植物防疫研究部門 基盤防除技術研究領域 海外飛来性害虫・先端防除技術グループ 主席研究員
学位
博士(農学)

研究者番号
20370497
ORCID ID
 https://orcid.org/0000-0003-4398-3265
J-GLOBAL ID
201701004807778095
researchmap会員ID
B000275731

外部リンク

日本には海外から多くの長距離移動性の昆虫が飛来して来ます。トビイロウンカ、セジロウンカ、ヒメトビウンカ、コブノメイガ、アワヨトウ、ハスモンヨトウ、ミカンコミバエなどが代表的な例です。日本は発生地である大陸や島嶼から海を隔てた島国ですから、これらの昆虫が移動する距離は時に1,000km以上の長い距離になります。数mmから数cmの小さな生物がこのような長距離、しかも海の上の大気中をどのように移動しているのか、その移動実態はよく分かっていません。
特に調査が難しい海上での移動実態は不明な点が多い:海上での飛翔高度分布はどのようなものか、風に対してどのような速度で移動しているか、風向に対してどの向きに飛翔しているか、移動したい方向はどのようにして分かっているのか、気温の低い高高度領域には入らないのか、何時間まで飛翔できるのか、夜間活動するヤガ科の昆虫は昼間でも飛翔するのか、海上で浮かんで休息するのかなどなど。また、飛来があった日本側から気流を時間を遡る方向で追跡してもおおよその飛来源は推定できますが、精度高い飛来源地域の推定は気流のみでは限界があります。
そこで我々の研究グループでは、ゲノム解析、虫体の構成元素の同位体解析、殺虫剤抵抗性解析、昆虫レーダやサーチライトトラップによるモニタリングを気流解析と合わせることで飛来源を精度高く推定するプロジェクトを推進します。飛来源が分かれば、そこでの昆虫の発生実態を解明し、飛来予測技術を開発することができ、適期防除を実現し農業被害を軽減できます。このように長距離移動性昆虫の科学は、応用の面での貢献も期待できます。
イネウンカ類の飛来予測システムは、日本植物防疫協会のインターネットデータベースサービスJPP-NETで実運用されて全国の病害虫防除所などで利用されています。
現在、アワヨトウ、ハスモンヨトウ、ミカンコミバエの移動分散解明、飛来予測手法の開発を行っています。また2019年から日本に飛来侵入したツマジロクサヨトウの研究も推進しています。
こうした昆虫は越境性ですので、中国、韓国、ベトナム、台湾など東アジアの国々地域と共同研究を行っています。


論文

  52

MISC

  43

講演・口頭発表等

  2

受賞

  7

共同研究・競争的資金等の研究課題

  2