2018年4月 - 2021年3月
東京電力福島第一原子力発電所事故後の水田生物:営農開始後の遷移実態の解明
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
東北地方太平洋沖地震とそれに伴う東京電力福島第一原子力発電所事故により、営農中断しその後再開した水田において、生物相の変化を明らかにするため、営農中断し表土剥ぎおよび客土の実施、営農中断し表土剥ぎなし、営農中断なしのほ場を平野部と山間部、さらには栽培方法として直播と移植に分け、16地区42枚の調査ほ場を設定した。調査は「農業に有用な生物多様性の指標生物調査・評価マニュアル」により、ダルマガエル類、アカネ類・イトトンボ類、水生昆虫類、アシナガグモ類について行った。ダルマガエル類はトウキョウダルマガエルが営農再開3年目の飯舘村八和木ほ場で再開後初めて確認された。一方、営農再開5年目の浪江町酒田ほ場では未確認であった。アカネ類羽化殻はアキアカネ、マイコアカネ、ノシメトンボの3種が確認され、アキアカネが最も多かった。また、営農中断ありで再開1年目のほ場でも羽化殻が確認された。イトトンボ類は7種が確認され、アジアイトトンボが最も多かった。20種の水生昆虫が確認され、営農中断ありのほ場の方が営農中断なしよりも多い傾向が見られた。ヒメアメンボ、キイロヒラタガムシ、コミズムシ属は多くのほ場で、コシマゲンゴロウ、ヒメゲンゴロウ、ケシゲンゴロウ、ミズカマキリ、チビミズムシ属は営農中断ありのほ場でのみ確認された。アシナガグモ類では営農中断、表土剥ぎ及び客土の有無による個体数への影響は判然としなかった。
一方、6月末から7月下旬にかけて3地区にアカネ類用自動撮影装置を設置した所、初夏のアカネ類やその他のトンボ類の撮影が確認された。また、8月末から10月末にかけて5地区に装置を15台設置するとともに、複数回の見取り調査によるアカネ類密度の調査を行ったところ、アカネ類の自動撮影枚数と密度には正の相関が見られた。また、アカネ類が撮影された日数と密度にも相関が見られたが、撮影枚数と密度の相関の方が高かった。
一方、6月末から7月下旬にかけて3地区にアカネ類用自動撮影装置を設置した所、初夏のアカネ類やその他のトンボ類の撮影が確認された。また、8月末から10月末にかけて5地区に装置を15台設置するとともに、複数回の見取り調査によるアカネ類密度の調査を行ったところ、アカネ類の自動撮影枚数と密度には正の相関が見られた。また、アカネ類が撮影された日数と密度にも相関が見られたが、撮影枚数と密度の相関の方が高かった。
- ID情報
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- 課題番号 : 18K05931
- 体系的番号 : JP18K05931
この研究課題の成果一覧
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論文
1-
北日本病害虫研究会報 74 56-60 2023年12月 査読有り筆頭著者