岡北 一孝
基本情報
- 所属
- 岡山県立大学 デザイン学部建築学科 准教授
- 学位
-
修士(工学)(2008年3月 京都工芸繊維大学大学院)博士(学術)(2013年9月 京都工芸繊維大学)
- 研究者番号
- 00781080
- J-GLOBAL ID
- 200901074288821870
- researchmap会員ID
- 6000019735
研究テーマについて
「15世紀イタリアの万能の天才アルベルティの建築論と美学ー建築創作と修復をめぐってー」
アルベルティはとりわけルネサンスの建築家の中でも、理想とした異教的古代建築を、キリスト教的価値観の支配する「いまの」社会において、いかにふさわしく再生させるかを熱心に追求しました。そのために過去の建築や都市の形態と多様性を学ぶために建築書を書き、過去の建築の素描や図面を描き、自らのデザインの根幹としました。そこには過去の建築を保存することと新しい建築を創造することの融合と美しい調和がみてとれるのです。それは、改築、修復、リノベーションというような枠組みでは捉えきれない創作手法といえます。
「15世紀イタリアの空間概念についてーテクストとイメージによる空間描写ー」
さらにもう一つの研究テーマとして1400年代の空間概念や、その成立過程を明らかにするため、様々な空間表現を当時の思想・視覚文化の中で再検討してきました。実際の建築と都市のみならず、テクストによる空間描写(建築論や文学作品などにおける建築や都市の描写)とイメージによる空間描写(絵画や素描に描かれた建築や、建築図面)という空間を表現する「メディア」についても考察しています。
「初期近代ローマの新サン・ピエトロ聖堂造営における建築創作手法としての創造的修整」
本研究は、科学研究費助成事業若手研究(2018〜21年度)の研究課題です。初期近代ローマ最大の建築事業であった旧サン・ピエトロ聖堂の再建(新サン・ピエトロ聖堂の建設)に着目し、複雑きわまるその設計・建設過程が「保存」と「破壊」との弁証法の中から紡ぎだされた「創造的修整」と呼ぶべきものであったことを明らかにすることを試みます。創造的修整とは過去の建築を大規模に改変する際にみられる、創造と保存を包括した創作手法を示す概念です。それは新サン・ピエトロ聖堂建設の重要な設計原理でもあったと考えられます。それは今日の建築創作における保存と創造の深刻な対立構造という問題を、史的な観点から考察するうえで興味深い事例でもあるはずです。
「ルネサンス期の彫刻家-建築家による建築創作手法の特質の解明」
本研究は、科学研究費助成事業若手研究(2021〜23年度)の研究課題です。ルネサンス期イタリアは、建築家の職能の形成過程にあったため、名を馳せた画家や彫刻家が建築創作をも手がけることが多くありました。建築の構想や表現において、内観・外観の透視図や建築図面が重要視されたこともあり、建築における絵画的建築空間の特質についてはさまざまに議論されてきています。しかし彫刻については、建築と同じく三次元的表現を特徴とする空間芸術であるにも関わらず、建築創作との関係性は切り離されて考察されることがしばしばです。そこで本研究は、ルネサンス期の彫刻家−建築家が制作したミニチュア建築(墓廟、説教壇、天蓋など)に着目し、それらを単なる彫刻作品ではなく、建築空間表現につながる造形ととらえ、その形態的特徴や、構想から実現までの創作過程などを、彼らが手がけた建築と比較することで、彫刻家−建築家に特有の彫刻的建築ともいえる性質を剔抉することを試みます。
「ルネサンス建築を物質的観点から再考する:古典主義の展開における素材の役割 」
本研究は、科学研究費助成事業基盤研究(C)(2024〜27年度)の研究課題です。ルネサンス期のローマは芸術の中心地として多くの建築を生み出しました。古代復興・再生の時代であるがゆえに、それらの建築群は、古代性や古典主義の観点から主に分析されてきました。特に建築オーダーや各部の数的比例関係、古代解釈の創造性や前衛性などが「かたち」をもとに議論されていますが、建築を形づくる素材やその物質的側面には、いまだスポットライトが当たっていないと言えます。そこで本研究は、時間軸に沿って可能な限りのローマ・ルネサンス建築を分析することで、建築の素材の使用や加工の実態が大きく変遷をしたことを実証的に指摘し、古代性の表現や、古典主義の諸相を深く読み解くための新たな視座を示すことを目的とします。
研究キーワード
16主要な経歴
15-
2022年4月 - 現在
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2020年4月 - 2022年3月
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2019年4月 - 2020年3月
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2016年4月 - 2019年3月
主要な学歴
4-
2008年4月 - 2013年9月
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2009年10月 - 2010年9月
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2005年4月 - 2008年3月
主要な共同研究・競争的資金等の研究課題
11-
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 2024年4月 - 2029年3月
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日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 2024年4月 - 2028年3月
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日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 2024年4月 - 2027年3月
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日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 2023年4月 - 2026年3月
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日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究 2021年4月 - 2024年3月
主要な書籍等出版物
8-
丸善出版 2024年11月 (ISBN: 9784621310199)
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名古屋大学出版会 2021年6月 (ISBN: 9784815810269)
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中央公論美術出版 2021年1月 (ISBN: 9784805508862) 査読有り
-
彰国社 2020年4月 (ISBN: 9784395321476)
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NTT出版 2014年12月 (ISBN: 9784757143357) 査読有り
主要な論文
18-
Arts & Media (14) 16-35 2024年7月 査読有り招待有り筆頭著者
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日伊文化研究 (62) 13-24 2024年4月 査読有り招待有り筆頭著者
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カルチュラル・グリーン (5) 23-45 2024年3月 査読有り招待有り筆頭著者
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カルチュラル・グリーン (4) 3-28 2023年3月 査読有り招待有り筆頭著者
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2022年度日本建築学会大会(北海道) 建築と模型[若手奨励]特別研究 パネルディスカッション資料 11-22 2022年9月 招待有り
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京都美術工芸大学研究紀要 (2) 49-65 2022年3月 査読有り
主要な講演・口頭発表等
27-
日本建築学会近畿支部建築論部会若手小部会書評会「片桐悠自『アルド・ロッシ 記憶の幾何学』」 2024年12月21日 招待有り
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第7回 カルチュラル・グリーン研究会 2024年8月11日 カルチュラル・グリーン研究会 招待有り
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「脱線」digressionの創造力:初期近代西欧の視覚芸術と修辞学の協奏 2024年2月23日 招待有り
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第6回 カルチュラル・グリーン研究会「魂(たましい)と創造」 2023年8月29日 カルチュラル・グリーン研究会 招待有り
-
2022年度日本建築学会大会(北海道) 建築と模型[若手奨励]特別研究委員会 パネルディスカッション 2022年9月8日 招待有り
主要なMISC
56-
磯崎新と西洋建築史 1-2 2024年10月 筆頭著者
-
建築史学 (83) 75-78 2024年9月 招待有り筆頭著者
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日本建築学会大会学術講演 (関東) 665-666 2024年8月 筆頭著者
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建築ジャーナル (1354)-23 2024年5月 招待有り筆頭著者
-
地中海学会月報 (465) 4-4 2024年1月 招待有り筆頭著者
主要な担当経験のある科目(授業)
45所属学協会
5-
2012年4月 - 現在
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2009年10月 - 現在
-
2008年4月 - 現在
-
2008年4月 - 現在
-
2006年4月 - 現在
主要な委員歴
12-
2023年12月 - 現在
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2023年10月 - 現在
-
2023年4月 - 現在
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2021年6月 - 現在
-
2021年4月 - 現在
-
2019年4月 - 現在
-
2018年3月 - 現在
受賞
2-
2008年10月
主要な学術貢献活動
8主要なその他
23-
2024年5月 - 2024年5月岡山県立大学の学術イベント「OPUフォーラム2024」で発表した研究紹介パネルです。 岡山県立大学は、地域に貢献する大学として、産学官民の様々な連携により教育研究及び社会貢献活動に積極的に取り組んでいます。その取り組みについて広く地域の方々や企業・団体の皆様に知っていただくため、毎年開学記念日(5月29日)の前後にOPUフォーラムを行っています。
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2022年11月吉備創世カレッジの講座。11月14日開催予定。大原美術館は、岡山を代表する西洋風の建築です。その堂々たる外観は、ローマの建築に由来します。この講座では、大原美術館の建築の魅力について解説し、さらにその起源としてのローマ建築の面白さに迫ります。
社会貢献活動
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