共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2023年3月

家庭裁判所が主導する多機関連携の理論の構築及び運用の促進

日本学術振興会  科学研究費助成事業 若手研究  若手研究

課題番号
20K13345
体系的課題番号
JP20K13345
配分額
(総額)
1,820,000円
(直接経費)
1,400,000円
(間接経費)
420,000円

家庭裁判所において、機関連携が進まない弊害を、家庭裁判所から出されている判例をもとに明らかにした。少年たちは、家族を含め環境の調整、すなわち、身元の引き受けが準備できれば社会内での処遇による働きかけにて立ちお直っていくことができる。しかし、環境の調整が整わない場合には、施設への収容も検討される。しかし、家庭に問題があることも多いうえ、家庭裁判所が有する社会資源の数も限られており、環境調整が整わない事例も散見される。その結果、少年たちは、施設への収容を余儀なくされているという課題がある。
家庭裁判所における他機関連携を阻害する要因を、先行研究及び聞き取り調査から明らかにした。他機関連携を阻害する要因として、大きく分けて2つある。一つは、家庭裁判所内部の問題として、調査官の官僚的統制による問題がある。昨今の厳罰化の傾向を受け、非行要因の除去という狭い視点からのケースワークに終始する傾向が助長されることにより、連携先となる機関の選定もきわめて限定的なものとならざるを得なくなっている。もう一つは、機関相互の理解不足が挙げられる。各機関は行政及び民間を含め、管轄権限が異なる主体により運営されている。そのため、縦割り行政の弊害を含め、機関間相互の理解が進まず、結果的に、連携が進まない現状がある。
これらの課題が明らかとなったことを受けて、フランスにおける機関連携の制度化に向けた取り組みを調査した。フランスにおいては、「子どもの成長過程の一貫性を保障する」という理念に基づき、少年司法保護局が、主体的に行政及び民間の団体との機関連携を進めている。また、連携に際して、共通言語や共通指標による少年のアセスメントが可能なように、各機関相互に使用可能な評価軸の策定も進められている。さらに、情報の円滑な共有と獲得を目的として、電子ファイルの作成も進んでいる。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20K13345
ID情報
  • 課題番号 : 20K13345
  • 体系的課題番号 : JP20K13345