Pyrazinamide(PZA)は、結核菌が有するpyrazinamidase(PZAse)により抗菌活性を有するpyrazinoic acidに変化して効果を示すため、PZAse活性が欠落している場合、抗菌作用の欠如から耐性化する。PZAseは、結核菌の持つ561bpのpncA遺伝子によりコードされ、欠損を含むpncA変異によりPZAse活性が低下あるいは失われる。今回、PZAによる初回治療例においてpncA遺伝子全欠損によりPZA単剤耐性を示すという今までに報告のない肺結核症例を経験したので報告した。本例は耐性発生機序の一つに適応的突然変異が関与している可能性もあると考えられた。