講演・口頭発表等

2019年8月19日

岩手県に就業している看護職者の職業的アイデンティティと地元志向に関する実態調査

日本看護研究学会第45回学術集会
  • 大谷 良子
  • ,
  • 作間 弘美
  • ,
  • 竹本 由香里
  • ,
  • 江守 陽子
  • ,
  • 遠藤 芳子
  • ,
  • 青柳 美樹
  • ,
  • 佐藤 つかさ

【目的】 本研究は,看護学生の職業的アイデンティティおよび地域志向性を高める教育方略検討の基礎資料を得ることを目的に,県内就業している看護職者の職業的アイデンティティと地元志向について調査したものである。
【方法】 2017年11月~2018年2月に県内に就業している20代の看護職者771名に無記名自記式質問紙調査を実施した。調査内容は,対象者の属性,勤務先の選択理由,看護師養成機関卒業時の地元志向(18項目5件法),職業的アイデンティティ尺度(藤井ら,2002:4因子20項目7件法)に新たに加えた「地域貢献への志向」(5項目)である。分析は IBM SPSS ver.25を使用した。地元志向項目は因子分析(重みなし最少二乗法・プロマックス回転)を行い下位尺度得点を求めた。本研究は研究
者所属施設研究倫理委員会の承認を得て実施した(岩保倫 -1700003)。
【結果】 603名(回収率78.2%)のうち,593名(有効回答率98.3%)を分析対象とした。対象者の平均年齢は25.2歳(SD2.2),出身地は岩手県567名(95.6%),青森県10名(1.7%),宮城県8名(1.3%),その他であった。勤務先の選択理由では,「希望の病院・施設」3.47,「福利厚生が良い」3.29,「実家から近い」3.18,「給与が良
い」3.18の順で高得点であった。職業的アイデンティティ下位尺度の平均点(SD)は,「社会貢献への志向」4.62(1.07)が最も高く,「看護職として必要とされる自負」3.92(1.10)が最も低かった。地元志向項目は因子分析の結果4因子が抽出され,各下位尺度平均点(SD)は「地元に対する愛着」4.01(0.77),「家族とのつながり」3.54(0.85),「地元貢献意識」3.35(0.99),「地元の有利性」3.33(1.15)であった。
【考察】 職業的アイデンティティの「社会貢献の志向」が高得点であったことは先行研究と同じ結果であった。岩手県に就業している看護職者は主に岩手県を出身地とするものが多く,出身地での就職先を選択している傾向がみられた。この背景として,家族の存在や地域への愛着,社会への貢献という思いが強いことが推測された。