錯視日誌 - はじめに -

 
 錯視日誌では、研究、教育、アート,その他のことについて、いろいろなことを書いています。数理視覚科学の研究から生まれた学術的な新しい錯視図形や錯視アートの新作も発表しています。もともとは文字列傾斜錯視日誌という名前で、文字列傾斜錯視自動生成アルゴリズム(新井・新井、特許取得、JST)による作品の発表を中心にしていましたが、文字列傾斜錯視以外の話題が多くなってきたので、名称を「錯視日誌」に変えました。

Copyright Hitoshi Arai. 本日誌の文及びオリジナル画像の無断複製・転載を禁止します
錯視についてならば錯視の科学館へどうぞ.入り口はこちら:

http://araiweb.matrix.jp/Exhibition/illusiongallary4.html

 

錯視 日誌

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2019/05/02

目の錯覚、誰がどうやって見つける? 

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連載『コンピュータで錯視の謎に迫る』の第12回は
目の錯覚、誰がどうやって見つける? 偶然発見される錯視、理論的に作られる錯視」(2019/5/2)
 お時間のあるときにでも,どうぞご覧ください.


コーヒーの錯視(詳しくは記事をご覧ください)

https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1905/02/news006.html#utm_term=share_sp

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2019/04/24

数学を創る-数学者達の挑戦@東京大学 配信中

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UTokyo OCWによると、

【配信中】「数学で探る錯視の世界」(新井仁之先生)講義映像が公開中です。2009年度 #学術俯瞰講義 「数学を創る-数学者達の挑戦」第7回です。https://bit.ly/2HNfViA  #UTokyoOCW

だそうです。10年前の東京大学での講義です。コーディネータは岡本和夫教授でした。聴講者は数百人(?)くらいおられたように思います。
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2019/04/19

応用重視の線形代数はどのような内容を講義すればよいか (1)

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 現在,ご存知のように線形代数は高校数学から省かれています.応用数学を研究・教育しているものの立場からすると,線形代数は,むしろ全く新しい形態で大いに取り入れた方がよいと個人的には考えております.

 高校のことについては別の機会に譲ることにして,今日のブログでは,まず大学の線形代数について少し書いてみようと思います.
 15年ほど前のことになりますが,これからの線形代数はデータ解析の観点から講義内容を組み直す必要があると考え,そのためには大学で線形代数の何をどのように講義すべきか,どのような応用例が必要か,そんなことを真剣に一人で検討していたことがありました.特に依頼があったわけでもなく,なぜそんなことに時間をかけていたのか思い出せませんが,諸事忙しい合間をぬって,線形代数についていろいろと思いを馳せながらノートをまとめていました.かなりの分量になってしまったものの,幸い2006年に日本評論社から530ページ強の本『線形代数 基礎と応用』として出版されました.
「無限個のデータを扱うのが解析学であり,有限個のデータを扱うのが線形代数である」(『線形代数 基礎と応用』の序文より)
という思想が基軸になっている線形代数の教科書です.

 内容は,いろいろと練っていくうちに,線形代数の基礎のきっちりとした説明は外さないようにしつつ,特異値分解,一般化逆行列,離散フーリエ解析,ウェーブレット,回帰分析・主成分分析など多変量解析の基礎などになるべく重点を置き,画像処理,音声のスペクトログラム,信号の特異性の検出などの応用例も入れました.
 当時はこのプログラムがスタンダードな教養の線形代数のコースになるはずはありませんでしたし,これまでのスタンダードが悪いとも思っていなかったので,標準の授業とは別に,下記内容の「第3部応用編」を全学自由研究ゼミナールで有志の1年生・2年生に講義していました(東京大学駒場にいた頃の話です).

 その当時練った内容は次のようなものです:

『線形代数 基礎と応用』(新井仁之,日本評論社,2006)
第1部 基礎編―行列と行列式

第1章 数ベクトル空間、線形写像、基底
第2章 行列と行列の演算
第3章 線形写像と行列
第4章 ガウスの消去法
第5章 行列式
第6章 行列式の余因子展開とその応用
第7章 いろいろな行列の行列式
第8章 ブロック行列

第2部 理論編―線形構造と基底

第9章 基底と部分空間
第10章 内積と正規直交基底
第11章 行列の階数
第12章 連立1次方程式の一般解
第13章 基底変換と行列の対角化
第14章 行列の分解定理

第3部 応用編

第15章 一般逆行列とその応用
第16章 特異値分解とその応用
第17章 多変量解析と線形代数
第18章 離散フーリエ解析への応用
第19章 離散ウェーブレットへの応用
第20章 整数値行列とその応用

第4部 線形代数の抽象化

第21章 線形空間
第22章 テンソル積と外積
第23章 k-ベクトルとk-形式

付録
置換を互換の積に分解する方法
行列式の幾何学的意味
行列に対するノルム
ジョルダン標準形
問題の解答

あれから13年たっているので,時間があればそろそろ改訂してみたいと思っています.


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2019/04/18

純粋数学から応用数学へ

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以下の記事は,藤原洋数理科学賞受賞者のことばとして,日本数学会『数学通信』2019年2月号に掲載されたものです.数学通信編集部からの依頼で執筆しました.著作者はHPに転載可ということですので,『数学通信』(2019年2月号) から転載させていただいております.


藤原洋数理科学賞受賞者のことば
大 賞 新井 仁之
(早稲田大学教育・総合科学学術院教授)
受賞業績
『数理視覚科学と非線形画像処理の新展開』

 このたび第7回藤原洋数理科学賞大賞を授与いただき,大変光栄に思います.
私はもともと調和解析など純粋数学の研究をしていました.しかし21 世紀の
日付変更線を跨いだ頃にある転機が訪れ,視覚と錯視の数学的な研究を始め
ました.最初は既存のウェーブレットを使って研究していたのですが限界を
感じ,2009 年頃に新しいフレームレットの一つを構成しました.これに加えて
他のアイデアも多く得られ,視覚,錯視をはじめアート,非線形画像処理,
超視覚システムへの新たな展開が一挙に開けました.その成果が今回の
授賞理由になったものです.
 当初は先が見えない中で,視覚科学,脳科学,心理学,神経科学,画像処理,
アートなどを独学で学び始め,さらに手探りで異分野融合研究,技術発明,
実用化を進めてきました.このようなことができましたのも,若い頃にひたすら
純粋数学の研究をし,純粋数学のセンスを培ったお陰だと思います.
 大賞の授与の知らせを頂いたのは,昨年4 月に東京大学から早稲田大学に
移ってすぐのことでした.移動を機にこれまでとは異なる方向の研究を始めた
ところでしたので,受賞は新たな研究領域を進む大きな励みとなっております.
最後になりますが,お世話になりました方々に深く感謝いたします.
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2019/03/23

今年の日本数学会賞出版賞

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3月に東京工業大学で日本数学会が開催されました.学会ではさまざまな賞が発表されましたが,そのうちの一つである日本数学会賞出版賞が,斎藤毅先生,河東泰之先生,小林俊行先生の『数学の現在』(i巻,π巻,e巻,東京大学出版)に授与されました(授賞理由はこちら).
まことにおめでとうございます.

他には本間龍雄先生が出版賞を授賞されました.本間龍雄先生のご著書では,トポロジーの啓蒙書『新しいトポロジー―基礎からカタストロフィー理論まで 』(ブルーバックス)と本間先生の監訳された『数理科学の世界』(ブルーバックス)を学生時代に読んだことがあります.当時はカタストロフィーとその応用が非常に注目されていたように思います.『数理科学の世界』については,以前このブログでも取り上げさせていただいたことがありますが(数理科学を学べる本がほしい),ブログでほしいと言ったようなタイプの数理科学の新しい入門書がその後出版されたのかどうかは,まだ確認しておりません.

ところで『数学の現在』は多くの著者によるオムニバス形式の解説集ですが,じつは私も執筆させていただいております.e巻の第9講です.タイトルは『ウーブレットから視覚情報処理へ』で,主な内容は次のようになっております.
1.窓付きフーリエ変換vs.連続ウェーブレット変換
2.連続ウェーブレットから離散ウェーブレット
3.滑らかなウェーブレットとデータ圧縮
4.ウェーブレットを超えて脳内の視覚情報処理へ
5 .錯視,画像処理への応用,そして数学イノベーション

もし『数学の現在』e巻をご覧になることがありましたら,第9講にもお目を通していただければ幸いです.


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2019/02/22

第7回藤原洋数理科学賞受賞者のことば

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第7回藤原洋数理科学賞受賞者のことばが日本数学会の『数学通信』最新号に掲載されました.
http://mathsoc.jp/publication/tushin/2304/7-HFprize.pdf
今回,大賞を賜りました研究に関することなどを記しました.
研究を励ましてくださった方々にお礼申し上げます.
09:41 | Impressed! | Voted(1) | Comment(2)
2019/02/15

コンピュータで"錯視"の謎に迫る 最新作公開

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ITmedia NEWS に記事『同じ色でも濃淡が違って見える不思議な絵 “エッジ”が生み出す錯視、あなたはどう見える?』が掲載されました.
連載「コンピュータで"錯視"の謎に迫る」の第11回です.
お時間のあるときにでもぜひご覧ください.
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1902/15/news008.html
11:17 | Impressed! | Voted(0) | Comment(0)
2019/01/27

数学者とアーティストの共同研究の一形態について ― 『めがねと旅する美術展』を機に思うこと

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このところ諸事雑事あまたあり、極めて多忙すぎてなかなか行くことのできなかった『めがねと旅する美術展 視覺文化の探求』を昨日、ようやく駆け込みで観てきました。場所は静岡県立美術館です。




静岡駅からバスで25分ほどのところにある大きな美術館です。
この美術展は、青森県立美術館(2018/7/20-9/2)を皮切りに、島根県立石見美術館(9/15-11/12)、そして静岡県立美術館(11/23-2019/1/27)で開催されました。大学を移動したばかりということもあってか、時間が全くとれずに、最終日ぎりぎりに無理してようやく間に合いました。

『めがねと旅する美術展』は、ある特定のアーティストや**派の展覧会というのではなく、一つのテーマに沿って、さまざまな時代の多様なアート作品を集めたものです。たとえば17世紀の日本の屏風絵、江戸時代の浮世絵から現代の作家までさまざまなジャンルの作品が展示されていました。このほか新作アニメーション『押絵と旅する男』の上映もありました。作品の企画は今回の美術展と同じ「トリメガ研究所」さんです。このアニメは江戸川乱歩の作品を原作としたものだそうです。私自身は原作をまだ読んだことはないのですが、パンフレットによると「江戸川乱歩作品のなかでも名篇の誉れ高い」ものということです。今度、ぜひ原作も読んでみたいと思っています。

 ちなみに現代の作品ということでは、私の錯視作品
「めがねと旅する美術の浮遊錯視」(2018、新作)
「花の浮遊錯視」(2013)
「スーパーハイブリッド画像<とまれ>」(2012)
(いずれも新井しのぶと共作)も3点展示されています。これらは数学理論を用いて作成した作品です。「とまれ」が場所をとるせいか、展覧会の中央部分に3点が展示されていました。
 
 さて、この美術展のコンセプトですが、正確なところを記すためには、図録の「ごあいさつ」の一部を引用した方がよいでしょう。そこには次のように書かれています。

『本展では「めがね」を、世界を知るための、あるいは見えないものを見るためののぞき窓としてとらえます。アーティストたちが広い世界を、あるいは見えない世界を表すために制作した美術作品もまた、私たちにさまざまなイリュージョンを見せてくれるのぞき窓です。展覧会では、遠く離れた景色を望遠鏡のように間近にに見せる風景画、普通では見えないものをあらわにする透視図、レンズや錯視の効果を利用した「だまし絵」、そしてレンズや鏡面の特質を生かした作品などを紹介します』
(『めがねと旅する美術』(青幻舎)より引用)

めがねと旅する美術
「めがねと旅する美術」展実行委員会
青幻舎(2018/08/02)


 既に書きましたようにこの美術展は、従来のオーソドックスな作品展とは異なり、とにかくさまざまな作品が楽しめます。しかしその背後にはキーワードとなるものがあり、その一つは図録の帯にも記されている「アートとテクノロジー」です。古い絵画の場合でも、当時のテクノロジーが光るものがセレクトされています。また、JAXAによる衛生画像の展示がありましたが、これなどもアートとして位置づけられています。ある作家の創作というわけではありませんが、やはり自然は人にとって原初的なアートですから、特に現代の技術をもって初めてそれを見ることができるようにしたということでは、人工衛星から写真を撮るという行為も創作活動であり、その目的が何であれ、最新の機械を使って作成されたものもアートの新作と解釈できるのかもしれません。

 ところで、私の研究についていえば、例えば「浮遊錯視生成技術」は数学を使って自由に浮遊錯視を作れるという新技術を提供しています。数学は今やテクノロジーの一つであり、その意味では浮遊錯視生成技術やスーパーハイブリッド画像技術もアートを生み出すテクノロジーと言えるでしょう。これらの技術によりコンピュータを使ってある種の新しい錯視を作れるようになりました。しかしながら、そうだからといって、この数学テクノロジーを使って誰もが良い作品を作成できるということではありません。特に錯視の良い作品を数学を使って作っていくにはアーティストの方の協力が必要になります。今回の展示作品ではありませんが、すでにいくつかの作品ではアーティストの方とコラボさせていただき、数学理論を駆使して制作したものもあります。この方向の研究では、今後この形態をより推進していかねばならないでしょう。数学者とアーティストとのコラボで、さまざまなオプアート作品が創出される可能性は高いと思います。




なお私の出展作品は、上掲の「めがねと旅する美術」に掲載されています。



展覧会の絵 - 「見る」ことを研究し始めた数学者が見た美術の世界
https://researchmap.jp/joqfrhma9-1782088/#_1782088
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2019/01/10

10分でわかる(?)10分講義 数理視覚科学入門アップ

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数理視覚科学入門というビデオ講義がアップされています。
 Waseda Course Channel
 http://course-channel.waseda.jp/contents/C0000007279/

10分足らずの講義です。
早稲田大学365日オープンキャンパスに、
教育学部数学科の講義として参加してます。
対象は中高生・一般の方です。
18:14 | Impressed! | Voted(0) | Comment(0)
2019/01/02

いのしし年の年賀錯視 動画バージョン

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いのしし年の年賀錯視の動画バージョンを作成しました.
どうぞご覧ください.
https://youtu.be/-WHL1Gfgs-4
19:29 | Impressed! | Voted(1) | Comment(0)
2019/01/01

2019年いのしし年の錯視年賀状

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この年賀状の画像、どこに錯視があるでしょう。
じつは縁を除いて全部同じ色・輝度なのです。
縁を隠した画像が次のものです。



同じ色・輝度であることがわかると思います。

この錯視について詳しいことは
エッジに起因する明暗と色の錯視と画像処理(錯視の科学館)
をご覧ください。

それではみなさま、どうぞ良い1年となりますように!
00:00 | Impressed! | Voted(2) | Comment(0)
2018/12/19

赤い表紙の正則関数と緑の表紙の有理型関数

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『正則関数』が12月12日に発売され、『有理型関数』が同月27日に発売予定です。有理型関数の見本が昨日届きました.
「数学のかんどころ」(共立出版)というシリーズの第36巻と第37巻です。



詳しい目次等は次のサイトをご覧ください。
正則関数
有理型関数

著者のホームページ内の本書情報サイトはこちら
08:14 | Impressed! | Voted(1) | Comment(0)
2018/12/10

放送大学山形学習センター出張講演会

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昨日、日曜日に放送大学山形学習センター出張講演会をしてきました。前日雪が降り始め、天候が心配でしたが、幸い雪はやみ晴れてくれました。講演のタイトルは『数学で探る錯視の謎』でした。1時間30分の講演でしたが、多くの方々にご来場いただき、熱心に聴いていただけました。どうもありがとうございました。
会場は駅前にある放送大学山形学習センターではなく、山形大学小白川キャンパスのふすまホールというところでした。山形大学(山形市)に行ったのは、二十数年前に理学部で実解析の集中講義をしたとき以来です。
04:42 | Impressed! | Voted(1) | Comment(0)
2018/12/02

早稲田大学数学教育学会@新3号館で講演

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 昨日,早稲田大学数学教育学会第37回大会の講演会で「数学的方法による視知覚の研究と画像処理,アートへの応用」というタイトルの講演をしました.
 場所は早稲田大学3号館でした.政治経済学部の校舎で,古い建物が内包された最新の大きなビルです.おそらく学生の教室移動によるエレベータの渋滞を避けるため,校舎のほぼ中央にある吹き抜けに,6階までのエスカレータが設置されています(私の居る建物の教室移動用のエスカレータは5階まで!).エスカレータを上がっていくと,周囲には近未来的なビルがレトロな旧校舎を飲み込んでしまったような不思議な光景が上から下に移り変わっていきます.これは圧巻です.
 昔は早稲田大学(早稲田キャンパス)は古めかしい建物ばかりでしたが,今は a.e. で新しいものになり,早稲田のイメージに反して,オシャレなキャンパスに変貌を遂げています.


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2018/12/01

ムンク展に行って

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夕方,ムンク展に足を運びました.上野の東京都美術館です.ここは通常夕方5時30分までの開館ですが,金曜日に限っては夜8時まで開いています.
ムンクといえば「叫び」が余りにも有名で,今回の展覧会の目玉の一つでありますが,そのほかにも多くの作品が年代順に展示されています.私は正直なところ「叫び」以外の作品を知りませんでしたが,今回,彼のさまざまな絵画,版画を見ることができました.知らないということもあって,行く前はあまり期待はしていなかったのですが,最初に展示されているいくつかの自画像を見て,描かれたムンクの強烈な自己に圧倒されました.これはすごい!思わず襟を正しました.
今回の展覧会で印象に残った作品は,「地獄の自画像」,「フリードリッヒ・ニーチェ」,どこか郷愁を誘う「並木道の新雪」,そして「叫び」でした.特に,叫びの背景の歪んだ空間,それはあたかも強い力によってねじ曲げられたようで,その歪みを表す色が見る者の心に土足で踏み込んでくるため,否応なく見入ってしまいます.
「叫び」は人気のある絵なので,人の集中を避けるために,「不安」,「絶望」という作品と共に陳列され,そこを観衆は整列して移動しながら見学する方式がとられていました.この3作品を見て,言葉からの連想ですが,展覧会から帰ったらキルケゴール「死にいたる病」を読んでみたいという欲求に駆られました.何度目かの挑戦になります.なかなか素人には手強い本です.

ところで,展覧会場のパンフレットで知ったのですが,12月25日に「ムンク展,こどものための鑑賞会」が12月25日に開催されるそうです.ーこどものための? 今はこどものための様々な催しや,公開講義があってうらやましい限りです.私が子どもの頃は,そのようなものはなかったような気がします.
余計なことですが,かく言う私も12月26日に小・中・高校生の方々に『なぜ見える? 数学でせまる錯視のなぞ』というテーマの講演をします.平成30年度 中谷財団 科学教育振興助成 成果発表会 の特別講演です.
こういった催しへの参加をきっかけに,子どもたちが芸術や科学に興味をもち,少し贅沢を言えば,将来科学,芸術に大きな貢献をする人が出てくると,それは遠い将来のことでしょうから催している側の者は今は知ることができませんが,そうなることを想像してみると無性にうれしくなります.熱心な子どもは本当に輝い見えます.それを見られるのが,子ども向け講演をする者の特権かもしれません.


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2018/11/24

朝日新聞『産業界が活用する「錯視」』で研究成果が紹介されました

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朝日新聞(2018/11/24,朝刊,be report)の『産業界が活用する「錯視」』という記事で,新井・新井が先端的数学を開発して行った錯視研究と超視覚数理モデルによる画像処理の研究成果が紹介されました.
画像と画像の解説は
https://www.asahi.com/articles/photo/AS20181122001409.html
でご覧になれます.
(記事を見るには無料会員登録または会員登録が必要なようです.)
14:56 | Impressed! | Voted(2) | Comment(0)
2018/11/12

宮寺功著『関数解析』の巻末解説がweb公開されました

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今月、「ちくま学芸文庫」から宮寺功先生(早稲田大学教育学部名誉教授、1925-2017)の名著『関数解析』が刊行されました。
この本の巻末に掲載された解説が「Webちくま」
http://www.webchikuma.jp/articles/-/1550
に公開されています。
先生の思い出も交えて書きました。





『私の名著発掘』(本の紹介集)はこちら。
18:50 | Impressed! | Voted(2) | Comment(0)
2018/11/10

中谷財団科学教育振興助成成果発表会での特別講演

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Promotion of Scientific Education 2018
平成30年度中谷財団科学教育振興助成 
成果発表会 西日本大会

特別講演
『なぜ見える?数学でせまる錯視のなぞ』
講演者:新井仁之(早稲田大学教育・総合科学学術院)
を行います.
2018年12月26日(水)
詳しくはこちらをご覧ください.
https://www.nakatani-foundation.jp/wp-content/themes/nakatani-foundation/module/pdf/presentation/2018/poster_02.pdf
00:17 | Impressed! | Voted(0) | Comment(0)
2018/11/03

出張講演会のお知らせ

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放送大学山形学習センターの出張講演会をします.
日時は2018年12月9日(日)13:30-15:00,
場所は山形大学先端科学実験棟S401(ふすまホール)です.
タイトルは『数学で探る錯視の謎』,
講師は新井仁之です.
講演概要,場所等,詳しくは
https://www.sc.ouj.ac.jp/center/yamagata/news/2018/10/18142830.html
をご覧ください.
山形大学(山形市の方)は,二十数年前に集中講義に行って以来です.
08:34 | Impressed! | Voted(0) | Comment(0)
2018/10/01

第7回藤原洋数理科学賞授賞式/ピアノコンサート(藤原洋記念ホール10周年記念イベント)

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昨日,9月30日日曜日,第7回藤原洋数理科学賞授賞式 / ピアノコンサートが開催されました.台風はまだ来ておらず,天候は穏やかでした.場所は慶應義塾大学の藤原洋記念ホールです.今回は,藤原洋記念ホール10周年記念イベントでもあるため,これまでになく大盛況であったということです.
授賞式では,ピアノコンサート,基調講演,受賞者講演などがありました.
ピアノコンサートはピアニストの山岸ルツ子さんによる演奏です.山岸さんのピアノ演奏を聴くのは今回が2回目です.(1回目については,数学と音楽の夕べ 印象記に様子を書きました.)基調講演は日本のインターネットの父と言われている村井純先生の講演でした.

私は今回,第7回藤原洋数理科学賞大賞を受賞しましたので,記念すべき「藤原洋記念ホール10周年記念イベント」で大賞受賞講演をいたしました.授賞理由は

「数理視覚科学と非線形画像処理の新展開」

です.大きなコンサートホールでの講演でしたので,大学の教室で行われる講演会とは雰囲気が異なり,なかなか面白いでした.


授賞式当日に配布されたパンフレット表紙

藤原洋数理科学賞については,上掲のパンフレットの藤原先生による「ごあいさつ」に「第7回藤原洋数理科学賞を記念して当賞の意義と創設の想いについて『数学力で国力が決まる』(2018年9月 日本評論社刊)を著させて頂きました」とあります.その本は



です.第2章『藤原洋数理科学賞を創設した理由 数学への個人的な想い』に詳細が記されております.
この本についてはまたいずれ別の機会にご紹介したいと思っています.
04:02 | Impressed! | Voted(0) | Comment(2)
2018/08/29

コンピュータで錯視の謎に迫る 最新作

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少し間が空いてしまいましたが、
ITmedia NEWS  連載『コンピュータで"錯視"の謎に迫る』
の最新作です。
今回は
「丸いのに歪んで見える不思議な円 あなたの脳もだまされる?」

円がゆがんでみえる不思議な錯視とその数学的な解析をお楽しみください。

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1808/29/news017.html
08:35 | Impressed! | Voted(0) | Comment(0)
2018/08/24

脳の視覚情報処理の数学的研究と科学・技術・産業・アート

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『数学通信』(日本数学会)の最新号(第23巻第2号、2018年)に脳の視覚情報処理に関する数学的な研究とその科学・技術・産業・芸術への応用に関する記事が掲載されました。
数理視覚科学への入門的解説です。

新井仁之(早稲田大学 教育・総合科学学術院)
人の視知覚に切り込む数学とその応用
―調和解析,錯視,画像処理,アート―

ご関心のある方はどうぞご覧ください。
数学通信の誌面は白黒ですが、Web版はカラーでした!
http://mathsoc.jp/publication/tushin/2302/2302arai.pdf
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2018/08/13

「めがねと旅する美術」展の図録集に掲載された数学による錯視作品

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7月20日から青森県立美術館で『めがねと旅する美術』展が開催されています.この美術展には,錯視作品を依頼されて出品しました.筆者らが考案した脳内の視覚情報処理の数理モデルを使って,脳が錯覚を起こすように作成した作品です.先日,その図録集が届きました.


錯視作品掲載ページ(筆者撮影)

美術展は9月2日まで開催され,そのあとは 9月15日から11月12日まで島根県立石見美術館,11月23日から来年1月27日まで静岡県立美術館で開催されます.

そういえば先週,東京大学大学院数理科学研究科で開催された「数学と美術の交流シンポジウム」では,講演者のうち3人(私以外の二人はアーティスト)がこの美術展に出品している方でした.

『めがねと旅する美術』展の詳細は
http://www.aomori-museum.jp/ja/exhibition/115/
にあります.
図録集はAmazonでも販売しているようです.

めがねと旅する美術
「めがねと旅する美術」展実行委員会
青幻舎(2018/08/02)


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2018/08/07

『数学と芸術の交流シンポジウム』(東大数理)に参加して感じたこと

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 8月4日と5日の二日間,東京大学・数理科学研究科で開催された『数学と芸術の交流シンポジウム』に招かれ,参加・講演をしてきました.講演タイトルは
 「脳内の視覚情報処理の数理モデルと錯視アート」
でした.講演では私が行ってきた数理視覚科学の錯視アートへの応用に関する研究成果を話しました.数学,脳,錯視,アートが今回の講演のキーワードです.
 これまでアーティストの方とは個人的にお付き合いさせていただいたこともあり.また共同作業をしたこともあります.しかし,アーティスト,あるいはアート関係の方々の講演をまとまって聴くのは初めてでした.
 最近,科学とアート,数学とアートとの連携の動きが浮上し始め,教育でもSTEAM (*1)という言葉がちらほらと耳に入るようになり,また私自身,数理視覚科学の立場から視覚芸術への応用を試みているので,今回のシンポジウムは非常に興味深いものがありました.

 私は純粋数学の世界で教育を受けた者なので,おそらく実験科学者,技術者,工学者の方々とは,どこか違ったマインドがあると思います.実際,純粋数学の世界を飛び出して,異分野に越境した際には,別に大変なことではありませんでしたが,ある種の違いを意識的に消して同化しようと努めていました.
 しかし,不思議なことは,アートの方々とは,そういった異なる人種であることを意識することはありませんでした.ごく自然に質問ができ,ディスカッションができたように思えます.
 純粋数学者とアーティストのマインドにはどこか根底で共通する部分があるのかもしれません.

 ところで,シンポジウムのときに聞いた話によれば,東京大学では科学・数学とアートの融合的な研究プロジェクトが進行しているとのことでした.こういった本格的なプロジェクトが東京大学以外の大学でも立ち上がることがあるのかどうかは私には何とも言えません.しかし科学・数学とアートの融合的研究あるいは創作は一つの方向として,何か大きな可能性があるように感じられます.(そうだからこそ,筆者はこれまで研究してきたわけですが.)

 今回の「数学と芸術の交流シンポジウム」は挑戦的な試みであったと思います.参加者はそれほど多くはありませんでしたが,一種独特の刺激があり,活発なディスカッションがとてもよかったです.
 次回があるのかどうかはわかりませんが,アートに関心のある数学者と,数理科学に関心のあるアーティストとが自由にディスカッションし,協働できるオープンな集まりは,小さくとも何かの形であればよいと思います.

 

---------------------------------------------------
*1  Science, Technology, Engineering, Art and Mathematics

シンポジウムの講演プログラムはこちら
http://www.ms.u-tokyo.ac.jp/news/MathArt.pdf
22:01 | Impressed! | Voted(1) | Comment(0)
2018/08/06

例年以上、今年は暑い!

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文字列傾斜錯視.

例年以上、今年は暑い!例年以上、今年は暑い!
例年以上、今年は暑い!例年以上、今年は暑い!

!い暑は年今、上以年例!い暑は年今、上以年例
!い暑は年今、上以年例!い暑は年今、上以年例

例年以上、今年は暑い!例年以上、今年は暑い!
例年以上、今年は暑い!例年以上、今年は暑い!

!い暑は年今、上以年例!い暑は年今、上以年例
!い暑は年今、上以年例!い暑は年今、上以年例

by Hitoshi Arai
06:51 | Impressed! | Voted(1) | Comment(0)
2018/07/30

数学と芸術の交流シンポジウム (東大駒場キャンパス)

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『数学と芸術の交流シンポジウム』で,錯視アートの講演をします.
タイトル:脳内の視覚情報処理の数理モデルと錯視アート
講演者:新井仁之(早大・教育・総合科学学術院)
日時:8月4日(土) 13:30-14:30
場所:東京大学駒場キャンパス 数理科学研究科棟 056講義室

シンポジウムのプログラムはこちら⇩
http://www.ms.u-tokyo.ac.jp/news/MathArt.pdf
13:49 | Impressed! | Voted(0) | Comment(0)
2018/07/30

本当の世界は? ー 映画「トゥルーマン・ショー」

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 世界は広く,海の先には外国があって,さまざまな人が生活している.さらに宇宙は広大で,ずっと先の方には月や火星や,もっと遠くへ行けば別の銀河だとか,ブラックホールなどもあるということになっている.実際,テレビを見れば世界のニュース映像が流れているし,科学雑誌を見れば,学者が別の銀河やブラックホールの話を綺麗な写真や絵を交えてまことしやかに解説している.
 出張や旅行で海外に行くことはある.といっても,それはときたま出かけた期間だけ,特定の場所を見ているに過ぎない.これが問題だ.実際は映画のセットのようなところに誘導され,海外に行ったと錯覚させられているだけかもしれない.試しに観ている建物の壁を思いっきり棒か何かでたたいてみると,じつは張り子で,自宅の前につながっているのかもしれない.
 まだ海外なら行ける術があると信じているが,別の星やら銀河,ブラックホールに至っては,そこに行くこともできない.天文学者に相談すれば,もしかしたら大きな望遠鏡をのぞかされて,「ほらそこに見えるでしょ」と言われるかもしれないが,それだってただのCGということもありうる.
 世界とはそんな作られたものではないかと疑いをもち,そして世界の秘密をあばこうと,自分を騙そうとしている人たちに悟られないように,突然仕事をほっぽりだして,海外と思しき所に行き,外国の建物の壁を壊して自宅につながっているかどうか試してみる.しかし世界は,そもそもそのようなことができない仕組みになっている.いくら隠れて行動しているつもりでも,監視カメラですぐに見つけられ,飛行機会社のストライキか何かが急に起こったことになって,海外行きを未然に阻止されてしまうだろう.それに万が一成功したとしても,今度はストーリーが変更になって,気がふれたということで,病院のセットの中で暮らすことになるだけだ.
 もっとも以上のことは私が本心でそう思っていることではなく,ある映画を紹介するために,その映画のストーリーの発想に基づいて書いてみたものである.
 その映画とは,世界は本当はどのようになっていて,自分は本当のところどのような人物なのか,そんなことを独特の面白い設定で見せるジム・キャリー主演の『トゥルーマン・ショー』である.
01:10 | Impressed! | Voted(0) | Comment(0)
2018/06/04

早稲田大学学芸会

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 日曜日の午後に『早稲田大学学芸会』という催しがありました。大正時代に発足した教員の親睦会だそうで、新任教員は無料ということもあって、とりあえず行ってみることにしました。今回の開催場所は国立演芸場。プログラムは落語など10演目の構成です。
 落語といえば、私が学生の頃、興津要という古典落語を研究されている有名な早稲田の先生がいらっしゃいました。ご著書を何冊か読んだことがあったので、講義を受けたいと思いつつも、一度も果たすことなく卒業してしまいました。早稲田には演劇博物館もあり、私の勝手な想像に過ぎませんが、古典芸能の研究・普及には力を入れているのかもしれません。

 早稲田大学学芸会は、まず前座の若い落語家による小咄でスタートしました。熱演されていたのですが、プログラムには名前も載っていません。近い将来名前が載るように、ぜひこれからもがんばってほしいと心の中で声援を送りました。
 プログラムの最初は早稲田大学文学部出身の落語家 古今亭志ん吉さん。早稲田大学をネタにした創作落語です。舞台は架空の大隈家。そこの息子が早稲田ではなく慶応を受験したい、しかし大隈家の跡取りが慶応に行くのはけしからんと母親が猛反対する話です。この出し物、聴衆の殆どが早稲田の関係者ということもあって、終始おおうけでした。この噺で知った豆知識ですが、早稲田大学応援部チアリーダーズの名称が「BIG BEARS」で、これが「大隈(オオクマ)」から来ているのだそうです。

 取りは金原亭馬生師匠。演目は「佃祭」でした。とにかく文章としてきれいな日本語で、情景描写もまるで谷崎潤一郎か永井荷風の小説であるかのような表現豊かなものでした。
 噺の主人公は神田で小間物屋を営んでいる次郎兵衛さんという人です。この次郎兵衛さんが大の祭り好きで、その日もおかみさんの反対を押し切って、佃島の祭りに行きます。その帰り、渡し船の最終便に乗ろうとするところを見知らぬ若い女性が袂をしきりに引っ張り呼び止めます。あまりに強引に船に乗るのを引き留めるので、次郎兵衛さんはとうとう最終の渡し船に乗り損なってしまいます。遠ざかる船を気にしながら、次郎兵衛さんはどういうわけかを問いただします。その若い娘が話すには、5年前にある御店に奉公しているとき、奉公先の金子3両をなくし、途方にくれて橋から身を投げようとしているところ、通りすがりの次郎兵衛さんが投身を止めさせ、さらに3両をくれたというのです。話を聴いているうちに、次郎兵衛さんもそのことを思い出します。その娘さんは3年前に佃島の漁師のところに嫁ぎ、今は幸せに暮らしている、それもこれも次郎兵衛さんのお陰だ、次郎兵衛さんは命の恩人だと、何度もお礼を言います。亭主が漁師なので舟は後で出しますので、これから家に来てお酒でも飲んで欲しいということで、次郎兵衛さんもご相伴にあずかることにしました。
酒と肴が進むうちに、突然近所の漁師仲間が駆け込んできて、最終の渡し船が転覆し、死者も出ている、大変な騒ぎだと言います。
びっくりしたのは次郎兵衛さん・・・・と話は更に続きます。

 昔聴いた先代の馬生も、この噺ではありませんが、こういった人情噺は印象に深く残っています。今回の噺も先代とは違った趣があり、面白く、淡々と進む語り口には,日本語って美しい言葉だ、と感じさせるものがありました。
06:45 | Impressed! | Voted(1) | Comment(0)
2018/05/23

連載第9回はスーパーハイブリッド画像(動画付き)

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転勤などで3か月ほど空いてしまいましたが、連載『コンピュータで'錯視'の謎に迫る』(ITmedia NEWS) の第9回を完成しました。本日公開です。今回のテーマは
「同じ画像なのに違う絵が見える 不思議な「スーパーハイブリッド画像」とは?」
です。2006年にMITのオリバ氏らが「ハイブリッド画像」というのを考案しましたが、「スーパーハイブリッド画像」は 2012年に新井・新井がそれを改良したものです。今回はさらに新型のスーパーハイブリッドも載せました。
どうぞご覧ください。

連載 コンピュータで'錯視'の謎に迫る
第9回 同じ画像なのに違う絵が見える 不思議な「スーパーハイブリッド画像」とは
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1805/23/news013.html
13:59 | Impressed! | Voted(1) | Comment(0)
2018/05/04

数学の一つの応用です。

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新しい数学を作って行った視知覚の数理モデルの研究による副産物として、好きな写真やデザインを浮遊錯視にする技術を開発しました。従来、既存の単純な錯視パターンを使って作られることの多かった錯視アートですが、この数学を用いて開発した技術で、クライアントのニーズにあった浮遊錯視を作成できるようになりました。それを用いて、ここ数年、六花亭のチョコレート缶『ラウンドハート』の錯視デザインを制作してきました。これまで毎年、デザイン、あるいは色を変えてバレンタインデーに発売されてきました。
それが、今度、季節限定で青バージョンと緑バージョンが同時発売されました。

数学の研究が思わぬ所につながったのでは、と思っています。

オンラインで画像を見ることができ、購入もできます(6月中旬まで)⇩
ラウンドハート(青)
ラウンドハート(緑)
6月のおやつやさん(緑のラウンドハート入りのようです。)

浮遊錯視についての解説はこちら⇩
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1707/28/news008_2.html
(ITmedia NEWS のサイト内)
16:00 | Impressed! | Voted(0) | Comment(0)
2018/04/28

めがねと旅する美術展@青森・島根・静岡

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『めがねと旅する美術展』に出品します。
開催場所・期間
青森県立美術館(7/20-9/2)
島根県立石見美術館(9/15-11/12)
静岡県立美術館(11/23-19/1/27)
http://torimega.com/megane/

出品作家、作品のページはこちら⇩
http://torimega.com/megane/sakka_sakuhin/
22:17 | Impressed! | Voted(0) | Comment(0)
2018/04/26

SeedsN@vi (早稲田大学)に登録されました

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早稲田大学産学官研究推進センターのサイト SeedsN@vi  に登録されました:
視知覚の数理科学とその産業応用、特に各種画像処理技術、錯視、商用アートへの展開
(新井仁之)
https://www.wrs.waseda.jp/seeds/ja/researchSeeds/detail/2018-0402-01


ご関心のある方はどうぞご覧ください。
22:11 | Impressed! | Voted(0) | Comment(0)
2018/04/17

応用解析研究会 講演情報

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講演情報です。

『応用解析』研究会

663   4   21 日(土)   15:30 
新井仁之(早稲田大学)
『視知覚の数理科学とその応用』
於早稲田大学西早稲田キャンパス
55
号館 N 1   2 会議室


01:35 | Impressed! | Voted(0) | Comment(0)
2018/03/13

祝:楠岡成雄先生が日本学士院賞!

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楠岡成雄先生(東大名誉教授)が日本学士院賞を受賞!!
おめでとうございます.
研究題目:確率解析と数理ファイナンスの研究
http://www.japan-acad.go.jp/japanese/news/2018/031201.html#004
22:41 | Impressed! | Voted(1) | Comment(0)
2018/03/05

訃報 増田久弥先生

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増田久弥先生の訃報がありました。謹んでお悔やみ申し上げます。
増田先生には、私が86年に東北大学理学部数学科の助手になりましたときから、専門は異なるのですが、たいへんお世話になりました。当時、増田先生は東北大学の教授をされておりました。その後、先生は東京大学、そして立教大学に移られ、再び東北大学に着任されました。そして99年に明治大学に移られました。

今から30年以上も前のことですが、私が東北大に赴任するために仙台のアパートを物色しながら市内を歩いていたとき、たまたま歩道橋の上で増田先生にお会いしました。そのとき仙台にどんな店があるかを教えてくださり、
「むこうの藤崎デパートは仙台の老舗で、何か必要なものがあればそこで買うと良いですよ」
と話されていた光景が今でも鮮やかに蘇ってきます。

先生が編集・執筆された『応用解析ハンドブック』(シュプリンガー東京/丸善)は、単なるハンドブックを超えた本です。少し大判で、ハードカバー。638ページに及んでいます。この本は第1部基礎編と第2部応用編からなりますが、増田先生は第1部を全部執筆されました。この部分は、非線形解析学の非常にわかりやすい教科書になっています。
第2部は8人の方々がそれぞれの専門分野についてサーベイを執筆しています。じつは私もその中に入れてもらっております。東北大の先生の研究室で私の担当部分について打ち合わせをしたのも、もう20年以上前のことです。
昨年、お葉書を頂いたのが私にとって先生との最後の思い出となってしまいました。とても悲しく、残念です。



07:44 | Impressed! | Voted(0) | Comment(0)
2018/03/01

最終講義:視知覚の数理科学 3月10日

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最終講義です。

2017年3月10日(土)11:00-12:00
東京大学・大学院数理科学研究科大講義室
新井仁之:視知覚の数理科学

さまざまな錯視もお楽しみいただけます。どうぞお気軽にご来場ください。
参加費無料、事前予約不要です。

講演内容:
本講演では、脳内の視覚情報処理の数理モデルとその応用に関して、講演者による結果を中心に述べる。まず数理モデルを作るために考案したかざぐるまフレームレットについて概略を述べ、それを基礎に構成した視覚情報処理の非線形モデルを概説する。さらにこれらを用いて行った各種の錯視の解析を示す。錯視は人の視知覚のメカニズムを解明する上で鍵となる極めて重要な知覚現象であると考えている。先端的な数学を用いることにより、錯視に関して従来の方法では得られなかったような多くの新しい知見が導かれる。このほか、本研究の応用として得られるさまざまな画像処理技術についても、実例を交えながらいくつかの結果を示す。

詳細
http://www.ms.u-tokyo.ac.jp/seminar/2018/sem18-050.html
18:06 | Impressed! | Voted(0) | Comment(0)
2018/03/01

『視能訓練学』(医学書院)の「II 錯視」を執筆

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『視能訓練学』(医学書院)の第4章「視覚認知学」の中の『II 錯視』を執筆しました.数学ではなく医学書です。

18:02 | Impressed! | Voted(0) | Comment(0)
2018/02/15

東京大学数理科学研究科 連続談話会

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来る3月10日(土)に東京大学数理科学研究科で連続談話会があります。
場所は、東京大学大学院数理科学研究科棟大講義室、
講演者、講演時間、タイトル、アブストラクトは下記のとおりです。

11:00-12:00
新井仁之 氏 (東大数理)
視知覚の数理科学
講演アブストラクト

13:00-14:00
二木昭人 氏 (東大数理)
K安定性と幾何学的非線形問題
講演アブストラクト
 
14:30-15:30
川又雄二郎 氏 (東大数理)
双有理幾何学と導来圏
講演アブストラクト

16:00-17:00
俣野 博 氏 (東大数理)
反応拡散方程式の定性的理論
講演アブストラクト

以上、リンク先は東大・数理のHPです。
11:27 | Impressed! | Voted(0) | Comment(0)
2018/02/11

数学セミナー2018年3月号が熱い件

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 久々に『数学セミナー』に記事を書き、今日その雑誌を入手することができました。
 私が執筆したのは「特集 フーリエ解析ことはじめ」のしんがりにある『フーリエ解析の多彩な応用/ディジタル技術、人の感覚との関わり』という文章です。
 内容については雑誌を見て頂ければと思いますが、この解説記事のセクションタイトルを挙げますと
 1. はじめに
 2. アナログ信号とディジタル信号
 3. サンプリング定理と網膜細胞
 4. フーリエ級数で分かった視覚のひみつ
 5. ウェーブレット革命、さらに超ウェーブレット
といったものです。

 それはさておき、今回の数学セミナーは面白い記事がめじろおしです。武部(Takebe)さんの楕円積分・楕円関数の連載(こちらのresearchmapは次々回の裏話?)や梅田さんの記事といった数学のシリアスな解説をはじめ、作家円城塔氏の連載、テレビドラマ『天才を育てた女房』(天海祐希、佐々木蔵之介出演、読売・日テレ)の数学監修をされた高瀬先生へのインタビュー記事、そして藤原松三郎『微分積分学』の特集記事などなどです。

 藤原松三郎『微分積分學』は、つい最近改訂新版が出たので、それを記念した企画だと思われます。旧版は私が大学1年のときから座右の書の一つ(といっても図書室にあったわけですが)にしていた非常に思い入れのある本です。大学1年のときに積分について根掘り葉掘り考えて、微積分の担当の先生(故宮寺功先生)に質問したところ、『微分積分學』に書いてあるので見なさい、と言われたのが、この本との最初の出会いでした。
 藤原松三郎は1881年2月14日 に生まれ、1946年10月12日に逝去した東北帝国大学の教授だった方なので、改訂新版はもちろん著者自身によるものではなく、浦川肇先生、高木泉先生、藤原毅夫先生によるものです。この三人の先生方は、たまたま(?)よく存じ上げており、大変お世話になった方々です。浦川先生と高木先生は私が東北大学在職中の大先輩教授でした。藤原毅夫先生とお会いしたのは東大に移ってからのことで、「学術俯瞰講義、数学を創る」で連続講義をしたときに、プランニングからお世話になりました。話はそれますが、そのときの講師陣は、岡本和夫先生、甘利俊一先生、室田一雄先生、坪井俊先生、斎藤毅先生、全体的な構成が藤原先生という超豪華な顔ぶれでした。こういう方々とご一緒させていただいたのですから、私にとっては何ともありがたいことであり、本当に「有り難い」ことだったのです。
 俯瞰講義で何度もお会いしたときは知りませんでしたが、藤原毅夫先生は藤原松三郎のお孫さんということです!
 藤原毅夫先生の『藤原松三郎の欧州遊学と人となり』は、なかなか知ることのできない藤原松三郎の人物像がわかる貴重な資料となっています。仙台空襲のとき、藤原松三郎が赤ん坊だった毅夫先生を抱いて避難するくだりはドラマを感じます。

 ということで、改訂新版の方も、ますます思いの深い本となりそうです。『微分積分學』はずっと参考にしてきた本なので、また稿を改めていろいろ書きたいと思っています。

 ところで、『天才を育てた女房』の公式ホームページを見ると、岡潔役の佐々木蔵之介氏が次のようにコメントしてます。
 『文化勲章を受章された際、「数学とはなんですか?」との質問に、岡さんは、「生命を燃焼させるものだ」と答えられています。』
 最近、数学は役に立つ道具、と言った言葉を良く耳にしますが、何かしっくりとせず、「そうかもしれないが、それは数学の本質ではない」という思いが湧いておりました。しかし、岡潔の言葉は、もうこれ以上の答えはないというものです。しかも、岡潔が言ったということが極めて重く、重要です。
 「数学とは何か」と聞かれて「数学とは生命を燃焼させるものだ」と答えられるようになってみたいものです。
01:56 | Impressed! | Voted(3) | Comment(0)
2018/02/03

グラス・パターンについての数学的な解析

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ITmedia NEWSの連載『コンピュータで"錯視"の謎に迫る』第8回は、グラス・パターンについてです。数学的な解析もあります。どうぞご覧ください.

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1802/02/news010.html#utm_term=view_pc


14:06 | Impressed! | Voted(0) | Comment(0)
2018/02/02

特集「フーリエ解析ことはじめ」(数学セミナー 2/10発売)

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2月10日発売の『数学セミナー』3月号の特集は
「フーリエ解析ことはじめ」
です。私も
「フーリエ解析の多彩な応用」
という解説を書きました。多分数学者にはなじみがない(?)ような応用も入れました。
特集についての予告は日本評論社のホームページにありますが,それによると次のようなラインナップになっています.

・フーリエ解析の誕生◎岡本 久
・フーリエ級数とは◎熊原啓作
・フーリエ変換とは◎野村隆昭
・超関数とフーリエ変換◎中井英一
・フーリエ解析の多彩な応用◎新井仁之
01:41 | Impressed! | Voted(0) | Comment(0)
2018/01/26

六花亭から数学により作成した錯視缶入りチョコレート

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六花亭の今年のバレンタイン・ラウンドハート チョコレートが発売されました。
缶はハートの浮遊錯視です。
数学を使った浮遊錯視生成技術(新井・新井)により作成した錯視です。
詳しくは下記のサイトをご覧ください。

ラウンドハートのサイト(六花亭のサイト)

2017年バージョン以前のものは以下でご覧頂けます。
六花亭ラウンドハートの錯視の変遷(錯視の科学館)
03:47 | Impressed! | Voted(0) | Comment(0)
2018/01/18

日本数学会年会 市民講演会で錯視の講演

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日本数学会年会 市民講演会
で錯視の講演があります。
『人の視知覚に切り込む数学とその応用 ―調和解析,錯視,画像処理,アート―』
新井仁之(東大・数理)
日時:3月17日、14:10-15:10
場所:東京大学駒場キャンパス講堂(900番教室)

詳しくは数学会のHP⇩
http://mathsoc.jp/meeting/tokyo18mar/shimin.html
08:49 | Impressed! | Voted(0) | Comment(0)
2017/12/30

われ童子の時は・・・の句を聞いて。文語体と口語体。

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 「われ童子(わらべ)の時は語ることも童子のごとく、思うことも童子の如く、論ずることも童子の如くなりしが、人と成りては童子のことを棄てたり。」(岩波文庫『文語訳新約聖書』より。以下、『文語訳』と略記)

 年末、Ghost in the Shell / 攻殻機動隊というアニメをたまたま斜め観していたら、聖書のこの句が耳に入ってきて、何だろう、と驚きました。(アニメの台詞がこの通りだったかどうかは、記憶が定かでありません。)
 きれいなグラフィックで描かれた近未来と主人公の醸し出すニヒルな雰囲気が、聖書の文語訳と妙にマッチして印象的でした。それで、改めて聖書を見てみようと思いたち、本棚から文語訳聖書を引っ張り出してきました。
 この一句、内容もさることながら、よく読むと訳文の調子が感動的です。
 ごとく、如くと続いた後で、「如くなりしが、人と成りては」と切り返して、そのあと少し長い文で締めるところが、背筋がぞくっとするほど上手い。どこかで引用したくなる気持ちがよくわかります。
 谷崎潤一郎は、文章の調子は音楽的要素であるから、調子の良い文を書く極意は教え難く、人の天性に依るところが多いという主旨のことを書いています。文語訳聖書の訳者はその天性を間違いなく持っていたといえるでしょう。

 口語訳ではどうなっているのかが気になり、今度は口語訳の聖書を持ってきて調べました。

「幼子だったとき、わたしは幼子のように話し、幼子のように思い、幼子のように考えていた。成人した今、幼子のことを棄てた」(聖書、新共同訳,日本聖書協会、1989。以下、『口語訳』と略記)
 
 文語体と比較すると、口語体のため文語体独特のシャープさはありません。しかし、口語体としての調子は良く、何より現代の私たちにとっては非常に明快です。
 ところで、くだんの部分の一つ前の文は次のようなものです。

「全き者の来たらん時は全からぬ者廃らん」(『文語訳』より)
「完全なものが来たときには、部分的なものは廃れよう」(『口語訳』より)

 文語訳と口語訳を比較すると、ここでもリズム感というか調子では文語訳、一方、口語訳の方は、普段使っている言葉で書かれており、私には内容がすんなりと頭の中に入ってきます。

 ついでに私が文語訳聖書の中で好きな場面、イエスが誕生する夜、羊の群れの番をしながら野宿している羊飼いの前に、主の使いが現れるところを比較すると、

「忽ちあまたの天の軍勢、御使に加わり、神を賛美して言う、『いと高き処には栄光、神にあれ。地には平和、主の悦び給う人にあれ』」(『文語訳』より)

「すると、突然、この天使に天の大軍が加わり、神を賛美して言った。『いと高きところには栄光、神にあれ、地には平和、御心に適う人にあれ』」(『口語訳』より)

どちらも、澄み渡った濃紺の夜空から光を燦然と放った天の軍勢が下ってきて、神を賛美する声が(おそらくは唄のように)、これまで聴いたこともないような調べで響き渡る壮大な様子が表現され、名訳であると思います。文語訳の方はこの情景が眼前に広がり、想像力を駆り立てられ、一方、口語訳は柔らかく、わかりやすい語り口になっています。心象的な違いをあえて言えば、文語訳の方は、天の軍勢がやはり怖い。どのような兵器で抗っても、即座に木っ端みじんにされそうな強さが感じられます。口語訳のほうは、天の大軍が来てほっとするような安堵感があります。もちろんこれらは、個人の印象に過ぎません。

 一世代前の人は、文語と口語の両方になれていたと思うので、全く違う印象を受けていたかもしれません。私などは、文語体で文章を書いたこともなく、滅多に読むこともないので、文語と口語は、まるで違う言語のように感じてしまいます。文語体は格調高い装いをしていますし、音読したときのリズムが良く、さらに言えばエキゾチックな感じです。
 攻殻機動隊のアニメの台詞は、ストーリー上の内容的な意味も勿論あるわけですが、リズム感としてこの辺の現代人の感覚に上手く訴えかけているのでしょう。


前回までの『私の名著発掘』はこちらへどうぞ
https://researchmap.jp/joqw0hldv-1782088/#_1782088

00:26 | Impressed! | Voted(0) | Comment(0)
2017/12/19

プリンストン解析学講義第3巻『実解析、測度論、積分、およびヒルベルト空間』

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エリアス・M・スタイン、ラミ・シャカルチ著、
『実解析 測度論、積分、およびヒルベルト空間』
(新井仁之、杉本充、高木啓行、千原浩之訳)、日本評論社
が発売になりました。
プリンストン解析学講義第1巻『フーリエ解析入門』、第2巻『複素解析』に続く第3巻です。

主な内容は:
第1章 測度論
第2章 積分論
第3章 微分と積分
第4章 ヒルベルト空間:序章
第5章 ヒルベルト空間:いくつかの例
第6章 一般の測度論と積分論
第7章 ハウスドルフ測度とフラクタル



詳しくはこちらをご覧ください ⇨ 出版社のHP
20:00 | Impressed! | Voted(0) | Comment(0)
2017/12/09

歴史から消えた錯視の発見者 連載『コンピュータで錯視の謎に迫る』第7回

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ITmeida NEWS
真っすぐなのに斜めに見える“不思議な図形”の正体 「歴史から消えた錯視の発見者」とは。
東大・新井仁之教授が解説する錯視の世界。第7回では、直線でありながら斜めに見える不思議な図形が登場。錯視にまつわる歴史もご紹介します。

⇩カフェウォール錯視。灰色の水平線が平行なのに傾いて見える。


21:49 | Impressed! | Voted(0) | Comment(0)
2017/12/06

金沢大学理学談話会(数学分野)にて

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金沢大学理学談話会(数学分野)で講演をしました。
角間キャンパスを訪れたのは今回はじめてです。前回、金沢に来てからもう6年もたっていました。そのときは金沢の街中で「北国会館の錯視」を発見しました。
今回は新しい風景の錯視を見出すことはできませんでしたが、旧知の方々と再会できました。研究会とは違って、談話会はいろいろな分野の方とお会いできるのが楽しい点の一つです。

自然科学5号館の入り口のところに錯視付きの案内がありました。


そういえばこれが今年度(といってももう終わりですが)最初の講演でした。

【データ】
金沢大学理学談話会(数学分野)
日時:2017年12月4日(月)17:00-18:00
タイトル:錯視の数学的研究と画像処理、アートへの応用
於:金沢大学自然科学5号館大講義室
講演者:新井仁之(東大数理)

アブストラクト:
http://mathphys.w3.kanazawa-u.ac.jp/2017dec04_rigakudanwakai.pdf
案内:
http://math.w3.kanazawa-u.ac.jp/wp/2017/11/09/colloquium20171204/
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2017/11/05

バナッハの線形作用素論とサクスの積分論 雑感

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 1932年にS.バナッハが『線形作用素の理論』という数学史上極めてモニュメンタルな著書を出版した。この本が関数解析を数学の一つの分野として立ち上がらせたと言われている。元々はポーランドの出版社から「Monografie Matematyczne」というシリーズの一つとしてフランス語版が出版されたのだが、1987年に英訳が刊行され、今では Dover 社の廉価版が出ている。
 このバナッハの本を見ると、優れた数学書ではしばしばあることだが、全く古さを感じさせない。現役の関数解析の教科書とそれほどの違いがないのである。もちろんこの本の後に得られた定理は書かれていないので最新の話題というわけにはいかないが、それにしても根本的なスピリットに変化はない。言い換えれば、関数解析学の教程が、すでに創始者の手による最初の本で決定していたと言えるだろう。むしろ、かえってこの古いバナッハの本の方が、大筋がくっきりとしていて、応用で飾り立てた本とは違った推進力を感じることができる。
 まさに、古典的名著ここに有り、である。




 ところで、この本と同時に、最近筆者が填まっているのが、サクスの『積分の理論』である。これも原著は 1937 年に「Monografie Matematyczne」の一つとして出版されたもので、1964年に英訳がDoverから刊行され、2005年に新装版となっている。この本では、関数の微分とルベーグ積分の関係が詳細に解説されている。曲面 z=F(x,y)の曲面積に1章を割いているのも、ルベーグの学位論文の影響がまだ新鮮だったであろう時代を感じさせる。付録にバナッハが書いた「ハール測度について」と「抽象的空間における積分論」という小論も掲載されている。
 サクスの『積分の理論』は、実函数論の古典的な定理の宝庫である。このような古典的な実函数論の優れた書物が現在でも入手可能であることは喜ばしい。人はいつ引き出しから古いものを取り出し、それを磨き上げて新しいものに発展させるのかはわからないものである。



 余談だが、志賀浩二先生の『無限からの光芒』(日本評論社)によると、サクスには次のようなエピソードが残されている。バナッハとシュタインハウスがある論文を執筆し、学術誌に投稿した。その論文のレフェリーがサクスであった。サクスはこの論文の主要定理の証明が、カテゴリーの考え方を使うと簡単になることを見出し、著者たちに送った。著者たちはレフェリーの提案を入れてカテゴリーを用いた証明に変えた。じつは、これが関数解析にカテゴリーを使った最初であった。今ではその功績がバナッハとシュタインハウスに帰せられているが、じつはサクスによるものであったそうである。
 同書によれば、サクスはナチスに殺害されたとのことである。


前回までの『私の名著発掘』はこちらへどうぞ
https://researchmap.jp/joqw0hldv-1782088/#_1782088

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2017/10/29

文字列傾斜錯視を作れるソフト(10月末日まで公開中)

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錯視の数学的研究から生まれた文字列傾斜錯視を作れるソフト。
10月末日まで公開中です。

N 文字の好きな文字列と、N 以下の文字数 mを指定すると、与えた N 文字の中から m  文字の文字列傾斜錯視を自動的に見つけ出します。
(ただし「あああああ」みたいに、どう配列しなおしても傾かないものもあります。)

こちらからお試しいただけます。

http://www.araiweb.matrix.jp/Letter/DemoIllusion.html

どうぞお試しください。





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2017/10/19

季節感のある錯視

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今年は寒いですね。思わず
『例年以上今年は、寒い!』
と言いたくなりますが、その文字、傾いて見えませんか?




ITmedia NEWS 連載『コンピュータで'錯視'の謎に迫る』(新井仁之著)第6回より
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1710/12/news030_2.html
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