錯視、錯覚、視覚、数学、科学、脳科学、視覚科学、錯覚科学,新しい錯覚の科学 (以上キーワード)
数理視覚科学は、視覚と錯視 (視覚が引き起こす錯覚) に関する研究を、
数学、脳科学、神経科学、視覚科学、医学、心理学、コンピュータ・ビジョン
などを収束させて行う新しい学術分野です。
数理視覚科学は,筆者によって立ち上げられた学術分野です。視覚、視知覚、錯覚、認識に関する研究を,21世紀に発展しつつある最新の先端的数学理論を駆使し,必要に応じて新しい数学も創り、
視覚科学,脳科学,知覚心理学,医学,画像処理,コンピュータ・ビジョン,アート
などとの協働により行います.
数理視覚科学によって世界で初めて
幾何的錯視の錯視量の自由な制御 (新井・新井 2005).
任意の画像の浮遊錯視への変換 (新井・新井,特許取得,PCT出願, JST)
文字列傾斜錯視の自動生成 (新井・新井,特許出願,JST)
色の錯視の分析装置(新井・新井、特許出願、JST)
新しい画像処理システム(新井・新井,特許出願,JST)
媒体,画像データ関連 (新井・新井,特許出願,JST)
新しいディジタル・フィルタ群の設計方法(新井・新井,PCT出願,JST)
他出願準備中複数
・・・・・
などが可能になりました.これらは脳内で行われている視覚・視知覚の情報処理の数理モデルを構築し、それを応用して得られたものです。
たとえば錯視についても、これまでの心理学的な錯視研究では得られなかった成果が数理視覚科学によって得られています。最近、コンバージェンス型という言葉が現れていますが、おそらく既存の言葉の中ではこれが一番フィットしているもので、
諸科学との協働によるコンバージェンス型錯覚科学
が数理視覚科学の一つの副産物として派生していきます.
ただし誤解を避けるために一つだけ強調しておきたいことがあります。それは,数理視覚科学にとって,錯視の研究は単なる応用例の一つにすぎないことです。本研究成果のうち錯覚に関するものが分かり易く,取り上げられることが多いのですが,数理視覚科学は錯覚や錯視の研究を軸にするという狭い立場ではなく、もっと広い視点から多角的に人の視知覚・認識そのものを研究し、さらにそれを発展させています。
実際,数理視覚科学の多角的な観点をもった研究により,世界初の新技術が数多く生まれています。たとえば、上述の知的財産のような新技術です。
しかも、こういった新技術の研究が視覚や錯視のメカニズムの研究そのものにも全く新しい光をあてているのです。
ここで,数理視覚科学の鳥瞰図をあげておきます。

数理視覚科学プロジェクト概略図
数理視覚科学が錯覚の研究に限定しても,従来の心理学や計算論的な視覚研究とは違った成果を生んだ例として,浮遊錯視生成アルゴリズム(新井・新井)を用いて作成した錯視画像を二つ載せます。
錯視画像の見方:画像の中心にある小さな丸を見ながら、顔を画像から遠ざけたり、近づけたりしてください。クリスマスリースが円上を浮遊して動いているように見えます。
錯視画像の見方:画面をなるべくなめらかにゆっくりと上下にスクロールすると文字が左右に浮遊して見えます。度の入った眼鏡をかけている方は眼鏡を上下に揺らしても錯視が見えます。
これまでは静止画が動いて見える錯視は、錯覚の研究者やデザイナーが特定の単純なパターンを見つけ出して作成していました。
これに対して、新井・新井は
計算機に任意の画像から浮遊錯視を作らせることのできる
浮遊錯視生成アルゴリズムを発明しました。これは脳内の神経科学的な視覚の数理モデルを作成して計算機に実装し、数理モデル内のニューロンに相当するもの制御して作成するという、
従来の錯視図形の作り方とは一線を画したものです。
錯視アート、オプアートを変える新しい技術になるかもしれません。
このほか、
数学を用いた錯視量の制御 文字列傾斜錯視自動生成アルゴリズムもご覧ください。
さらに詳しいことにご関心をお持ちいただけましたならば、web上に開設した
錯視の科学館に是非お立ち寄りください。数々のオリジナル錯視図版を楽しみならがら、数理視覚科学の解説をご覧いただくことができます。
2012年4月2日 新井仁之
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