もご覧ください.
新井仁之(東京大学大学院教授)
錯視アート・オプアート展 No.11
紀元270年頃の2月14日。この日,ローマのキリスト教の聖職者であるヴァレンティヌスが殉教したと言われています。当時、兵士たちの結婚はローマ皇帝により禁止されていました。結婚すると士気が下がるというのがその理由だったそうです。しかし、ヴァレンティヌスはそれに背いて、兵士の結婚式を行いました。そのため処刑されてしまったのです。
そののち,2月14日はいつしか想いをよせる人や、親しい人にカードや花などを贈る日になりました。そして日本では、女性が男性にチョコレートをプレゼントする日として定着しました。
そんなバレンタインデーチョコレートの缶のために、浮遊錯視アートを創作してみました。六花亭のバレンタインラウンドハートです。缶に顔をゆっくりと近づけたり遠ざけたりすると、ハートが浮遊して見えます。
ちょっと言葉をかけにくい人にも、
『ほら、動いて見えるよ。』
何か話のきっかけができるといいですね。
なお、2013年にはホワイトデー バージョンがありました。
2017年,2018年,2019年も発売され好評だったようです。
缶の浮遊錯視は、浮遊錯視生成プログラム(特許、新井・新井、科学技術振興機構)を使って作成しました。
本技術は、従来のように、単にできあいの錯視図形を用いてデザインをしていた時代から、メーカーさんと相談しながらニーズにあった(浮遊)錯視を作っていくという新時代の幕を開けたといえるでしょう。
数学大航海時代の浮遊錯視錯視アート・オプアート展 No. 9
錯視画像の見方
画像をゆっくりと上下に動かすと、船が左右に動いているように見えます.また,画像を左右にゆっくりと動かすと船が上下に浮遊して見えます.
画面でこの操作が難しいときは,人差し指で画像の中央あたりを上から下,下から上になぞり,顔は動かさずその指先を目で追うと,船が左右に浮遊して見えます.また,人差し指で左端から右端に画面をなぞると,船が上下に浮遊して見えます.
作成の経緯
この錯視アートは,JST数学領域総括の西浦廉政先生が編集された『越境する数学』(岩波書店,2013)の表紙用に作成したものです.越境する数学は数学領域のキャッチフレーズでもあります.西浦先生から,この本にふさわしい表紙用の錯視デザインをと依頼され,作成したのが上の『数学大航海時代の浮遊錯視』です.
作品のコンセプト
数学と数学者を乗せた船団は,さまざまな分野に向かって出航し,越境していきます.船はやがて他分野へとたどり着き,そこで数学と他分野の文化が協働して新しい時代が開かれていきます.そんな越境する数学の船団が海の上を航行している姿を浮遊錯視で描きました.
その他
この浮遊錯視を作成するにあたって,浮遊錯視生成プログラム(新井・新井,特許,JST)を使用しました.これは新井仁之による「さきがけ研究」による成果です.
画像をゆっくりと(なるべく滑らかに)上下に動かすと、花が左右に動いて見えます。また左右に動かすと、花が上下に浮いているように見えます。
ただし、この錯視アート展は画面でご覧いただいていているので、画像を動かすのが難しく、その場合は、人差し指で画像の中央あたりを上から下、下から上にゆっくりと滑らかになぞり、顔は動かさずその指先を目で追うと、花が左右に動いて見えます。また、人差し指で画像の中央を右から左、左から右とゆっくり滑らかになぞり、顔は動かさずその指先を目で追うと、花が上下に動いて見えます。
初めての方は何度か試していただくとよいかと思います。