講演・口頭発表等

招待有り
2017年4月14日

人工知能が大学受験を突破する時代の人材育成

第114回日本内科学会総会
  • 新井 紀子

記述言語
日本語
会議種別
口頭発表(招待・特別)
主催者
日本内科学会
開催地
東京

国立情報学研究所では、2011年より「ロボットは東大に入れるか」という人工知能プロジェクトを推進している。大学入試という、ホワイトカラーを生み出すための社会的スクリーニング装置をベンチマークとして用いることによって、2030年にどのような仕事が機械に代替され、どのような仕事が人間に残り、どのようにビジネスや労働環境が変容するかを、正確に予測することができる。その結果に基づき、教育や法制度等、AIやロボットと共存するために必要な社会制度を提言することがプロジェクトの目的である。
本プロジェクトで構築したAIは2015年と2016年に40万人の高校生とともにセンター模試を受験し、二年連続で偏差値57以上を達成した。これは、上位約20%の成績に相当する。約800ある大学の半数以上、数十の国公立大学に合格可能性80%以上と判定された。特に、2016年のセンター模試においてはMARCH、関関同立クラスの有名大学にA判定を得た。また、同時期に受験した記述式の東大模試において、理系向け数学では偏差値76を達成した。
本講演では、「ロボットは東大に入れるか」プロジェクトで用いられた人工知能の各技術について触れつつ、人工知能の仕組みをわかりやすく概説する。その上で、現在の人工知能の可能性と限界について論じ、特に医療現場に導入される際に得られるメリットとデメリットについて論じる。