共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2022年3月

量子論コンピューティクスによるパワー半導体界面形成機構と電子物性の解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(A)  基盤研究(A)

課題番号
18H03873
体系的課題番号
JP18H03873
配分額
(総額)
42,120,000円
(直接経費)
32,400,000円
(間接経費)
9,720,000円

本課題においては、大規模長時間シミュレーションを可能にする計算方法論の開発と、それを用いたパワー半導体界面形成機構と電子物性の解明、を目的としている。
本年度における、方法論開発の成果としては以下の二点があげられる。第一は、Real-Space Car-Parrinello Molecular Dynamics (RS-CPMD)コードの、マルチコア・超並列アーキテクチャのコンピュータ上での高速化であり、第二は、深層学習(ニューラルネットワーク)を用いた、密度汎関数理論(Density-Functional Theory: DFT)の運動エネルギー汎関数T[n]の開発である。
RS-CPMDコードのチューニングは京コンピュータ上で行われた。基本プロファイラーを用いた計算時間の解析により、力の計算に関わる一連のサブルーチンにおいて、並列化効率が低いことが判明した。そこで空間並列とバンド並列をハイブリッッドした新たなコードを開発し、高速化が達成された。T[n]の開発においては、過去の深層学習を用いない汎関数のいずれよりも、高精度な汎関数が開発された。Siおよびダイヤモンド半導体のデータから学習し、SiCの物性を記述できる汎関数となっている。
これらの計算手法を応用し、SiC/SiO2界面での炭素原子関連欠陥の同定が行われた。酸化のし残りである炭素がC2の形態を維持して界面に残存し、これが電子トラップの原因となることが判明した。またGaNのエピタキシャル成長の機構を解明する目的で、窒素のガスソースであるアンモニア分子の成長表面上での分解反応を調べた。その結果、成長中のGaリッチなGaN表面では、比較的に弱いGa-Gaボンドがユビキタスに存在し、それが反応のスポットとなって、NH3の分解が生じ、その後NHユニットがGaNネットワークに取り込まれることがわかった。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18H03873
ID情報
  • 課題番号 : 18H03873
  • 体系的課題番号 : JP18H03873