共同研究・競争的資金等の研究課題

2021年4月 - 2024年3月

豚由来О7群サルモネラの遺伝学的全容の解明と薬剤耐性・病原性を規定する因子の同定

日本学術振興会  科学研究費助成事業 若手研究  若手研究

課題番号
21K14980
体系的課題番号
JP21K14980
配分額
(総額)
4,550,000円
(直接経費)
3,500,000円
(間接経費)
1,050,000円

Salmonella Choleraesuis(SC、抗原構造; 7:c:1,5)は我が国における豚のサルモネラ症の主要な原因血清型の一つであり、豚に消化器症状や全身症状を引き起こすことで養豚経営に被害を与える要因となっている。SCによるサルモネラ症の制御が求められる一方で、我が国に分布する本血清型の遺伝学的多様性、薬剤耐性、病原性等の特徴は十分明らかにはなっていない。また、野外では7:c:-というSCと類似した抗原構造を示すサルモネラ属菌がしばしば分離されるが、本菌とSCとの遺伝学的関係や病原性は不明である。そこで本研究では、我が国に分布するSCの遺伝学的全容と7:c:-との関係を明らかにすることを目的とした。令和3年度は25都道府県から病豚由来SCおよび7:c:- 計264株を収集し、一部の菌株(140株)について、次世代シーケンサー(Illumina HiSeq X TenあるいはNovaSeq6000)を用いた全ゲノムシーケンスを実施した。これら国内分離株、公共データベースに登録されている海外株、および系統樹の外群として選定したSalmonella Paratyphi C 1株を合わせた計173株のコアゲノム内の一塩基多型に基づく分子系統解析を実施した。その結果、SCおよび7:c:-は4つのクレードに区分された。主に生物型Choleraesuisはクレード1と2、生物型Kunzendorfはクレード3と4に集約され、両生物型は遺伝的に異なる背景を有していることが示唆された。本年度の解析に使用した7:c:-はクレード4に含まれており、SC生物型Kunzendorfの単相変異株であることが示唆された。また、薬剤耐性遺伝子データベースであるResFinderを使用したところ、クレード2において多剤耐性と予想される菌株で構成されるサブクレードが存在することを見出した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-21K14980
ID情報
  • 課題番号 : 21K14980
  • 体系的課題番号 : JP21K14980