2020年4月 - 2023年3月
北方四島における動物相の継続的モニタリング―エゾシカとヨーロッパミンクに注目して
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
内容
昨年度(令和3年)は、令和2年度に続いて新型コロナ対策のために北方領土に渡航することができなかった。そのかわりに研究計画にも述べてあるように北方領土に隣接した北海道東部の根室市や浜中町に哺乳動物相の捕獲調査を行った。それによると令和3年度は真無盲腸目のトガリネズミ類の個体数密度が低く、特にオオアシトガリネズミの密度がかなり減っていた。一方で浜中町ではイタチ科のラッコが海で繁殖しているのを確認した。ニホンジカについては道東地域では例年通りの高密度であった。一方、現地に直接おもむけない北方領土についての情報は国後島のクリリスク自然保護区の所長や所員から得た。それによると2021年の春の段階ではエゾシカが国後島に数頭存在しているのが確認されたが、色丹島や歯舞諸島などの他の北方領土では確認されていない。また国後島でも繁殖は確認されていない。国後島のヨーロッパミンクについては情報不足ではあるが生息していることは確かであった。事前に採集してある国後島と択捉島の環境DNAの分析では、哺乳類についてはエゾシカとヨーロッパミンクは検出されなかった。一方、淡水魚類については淡水性のサケ・マス類などが検出された。
意義
北方領土に隣接する北海道東部では例年通りにシカの密度は高かった。このことはいつでも北方領土へのさらなるシカの移住が起こりうることを示している。また国後島ではシカは前年に確認した個体が生存していると思われるが、繁殖していないということは、まだ当地でシカが増加するという段階にはないことを示している。一方、ヨーロッパミンクは現地調査ができない状況が最大の研究上の障害であることが明確になった。
重要性
モニタリングは継続することが重要であるが、現地に赴けない状況下では現地の協力機関や協力者との密な情報のやり取りにより必要な知見をえることができる。
昨年度(令和3年)は、令和2年度に続いて新型コロナ対策のために北方領土に渡航することができなかった。そのかわりに研究計画にも述べてあるように北方領土に隣接した北海道東部の根室市や浜中町に哺乳動物相の捕獲調査を行った。それによると令和3年度は真無盲腸目のトガリネズミ類の個体数密度が低く、特にオオアシトガリネズミの密度がかなり減っていた。一方で浜中町ではイタチ科のラッコが海で繁殖しているのを確認した。ニホンジカについては道東地域では例年通りの高密度であった。一方、現地に直接おもむけない北方領土についての情報は国後島のクリリスク自然保護区の所長や所員から得た。それによると2021年の春の段階ではエゾシカが国後島に数頭存在しているのが確認されたが、色丹島や歯舞諸島などの他の北方領土では確認されていない。また国後島でも繁殖は確認されていない。国後島のヨーロッパミンクについては情報不足ではあるが生息していることは確かであった。事前に採集してある国後島と択捉島の環境DNAの分析では、哺乳類についてはエゾシカとヨーロッパミンクは検出されなかった。一方、淡水魚類については淡水性のサケ・マス類などが検出された。
意義
北方領土に隣接する北海道東部では例年通りにシカの密度は高かった。このことはいつでも北方領土へのさらなるシカの移住が起こりうることを示している。また国後島ではシカは前年に確認した個体が生存していると思われるが、繁殖していないということは、まだ当地でシカが増加するという段階にはないことを示している。一方、ヨーロッパミンクは現地調査ができない状況が最大の研究上の障害であることが明確になった。
重要性
モニタリングは継続することが重要であるが、現地に赴けない状況下では現地の協力機関や協力者との密な情報のやり取りにより必要な知見をえることができる。
- ID情報
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- 課題番号 : 20K06086
- 体系的課題番号 : JP20K06086
この研究課題の成果一覧
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論文
1-
Mammal Study 45(2) 167-167 2020年4月15日 査読有り