共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2023年3月

特異な電子状態を発現するナノカーボンの設計と創成

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
20H02711
体系的課題番号
JP20H02711
配分額
(総額)
17,940,000円
(直接経費)
13,800,000円
(間接経費)
4,140,000円

本研究課題『特異な電子状態を発現するナノカーボンの設計と創成』は、実空間での原子配置が一義的に確定できるナノカーボン構造の構築を目指し、分子レベルの構造としては依然として完全に制御できない一連のナノカーボン化合物群を、有機合成化学的にボトムアップ手法で構造明確な分子として合成する。非常に単純なsp2炭素シートであるペリレンを鈴木-宮浦クロスカップリングにより二重1,8-ナフタレン架橋することで、距離と角度を完全に固定する対面型ペリレン二量体(プチグラファイト分子:面間距離3.3Å)の合成に成功し、結晶構造を明らかにし、強制的に近接した距離におかれたペリレン同士の電子的相互作用を電気化学測定などで明らかにしている。二重架橋(シクロファン)の形成により、単結晶でなくとも溶液中や薄膜中でも任意のメディアで常に平行にスタックした二量体構造を達成でき、100%効率の一重項分裂が期待できるため、今年度は分光測定すべく大量合成した。さらに1,8-ナフタレン架橋コロネンの二種類の積層2量体回転異性体(syn体およびanti体)の合成にも成功し、それぞれの単結晶に基づく計算から正孔移動度を予想し、これらについて実測するために単離手法を確立した。構成単位である炭素シートの性質およびシート間相互作用について本質的理解を獲得し、距離や配向の制御・固定を結晶中・溶液中で達成し、単結晶FETによるデバイス測定によって構造と電荷移動度の相関関係を実測により明らかしつつある。
更なる巨大π共役系として、側鎖によって主骨格をツイストしないヘキサリレンを構築することに成功し、30年ぶりに摂動のないオリゴリレンの分子長記録を更新した。最長波長は近赤外領域に突入している。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20H02711
ID情報
  • 課題番号 : 20H02711
  • 体系的課題番号 : JP20H02711