共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2023年3月

腸管神経系と免疫系の相互作用による全身性エリテマトーデスの病態制御機構の解明

日本学術振興会  科学研究費 基盤研究C  基盤研究(C)

課題番号
20K08779
体系的課題番号
JP20K08779
配分額
(総額)
4,290,000円
(直接経費)
3,300,000円
(間接経費)
990,000円

全身性エリテマトーデス(SLE)など自己免疫疾患においても腸内細菌叢の不均衡(dysbiosis)による免疫機構の異常が深く関与することが考えられている.しかし,その病理的意義は十分に明らかでない.代表者らは神経堤細胞に特異的に発現するホメオボックス遺伝子Ncxのノックアウト(KO)マウスの腸管で一酸化窒素(NO)産生神経の増加に伴う腸内細菌叢のdysbiosisおよび炎症性腸疾患が誘導されることに着目した.2021年度は,T細胞受容体刺激伝達分子ZAP-70の点変異により潜在的に自己反応性T細胞を有するSKGマウスの遺伝子型をバックグラウンドとするNcx-KoマウスのSLEモデル解析を行った.SLEモデルはImiquimodを経皮的投与により作製した.その機序は,過剰TLR7シグナルによる形質細胞様樹状細胞(pDC)の抗原提示能やIL-6およびI型IFNの産生亢進がポリクローナルなB細胞の活性化・増殖を促進することにより自己抗体産生を伴うSLE様の病態が形成されると考えられている.当該年の研究結果は以下の通りである.Ncxの欠損により,11)血清中抗dsDNA抗体の低下傾向を認めたが有意ではなかった.2) Ncx-Koマウスにおいて尿中蛋白(アルブミン)の増加を認めた. 3) Ncx-Koマウスにおいて各臓器中のCD4陽性T細胞のmRNA発現の解析で種々の炎症性サイトカインの増加を認めた.以上より,SLEなど自己免疫疾患においてdysbiosisはCD4陽性T細胞の機能異常に関与し,その病態メカニズムNcxが深く関わる可能性が示唆された.現在,同モデルにおけるループス様腎炎について解析中である.

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20K08779
ID情報
  • 課題番号 : 20K08779
  • 体系的課題番号 : JP20K08779