2011年3月
嘉永六年の江戸湾巡見
佛教大学大学院紀要文学研究科篇
- 巻
- 39
- 号
- 39
- 開始ページ
- 71
- 終了ページ
- 83
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- 佛教大学
本稿の目的は、嘉永六年六月から七月にかけて実施された、徳川公儀有司による江戸湾巡見の実態を理解することにある。同年のペリー艦隊の来航と江戸湾侵入・海岸測量強行は、江戸湾警衛体制に大きな衝撃を与えた。艦隊の浦賀退帆後、有司は海防充備を模索するため、江戸湾周辺地域の巡見を企図した。それが、本稿で取り上げる、嘉永六年の江戸湾巡見である。二つの新出史料から浮かび上がった巡見の実態は、実地見分や直接体験に基づく、極めて実効性の高いものであった。巡見者が起案した海防策は、以後の海防路線の基軸となる、海上台場築造案と軍船導入案であった。巡見で得られた知見は、海防路線を大いに規定したのであった。
- リンク情報
- ID情報
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- ISSN : 1883-3985
- CiNii Articles ID : 110008454247
- CiNii Books ID : AA12387923