2022年7月
【COVID-19流行下における他の流行性疾患の疫学変化】新潟県におけるCOVID-19流行下の突発性発疹の報告数と児の年齢の変化
臨床とウイルス
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- 巻
- 50
- 号
- 3
- 開始ページ
- 109
- 終了ページ
- 112
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- 日本臨床ウイルス学会
新型コロナウイルス感染症2019(COVID-19)流行開始以降、多くの小児の市中感染症は減少した。一方で、ヒトヘルペスウイルス6型と7型(human herpesvirus type-6/7:HHV-6/7)による突発性発疹の患者数は、新潟県の感染症発生動向調査において、2016〜2019年と比較して2020年はほぼ同等であった。さらに、近年指摘されている突発性発疹罹患年齢の上昇も経年的に認めた。しかし、突発性発疹罹患者における乳児の割合は、COVID-19パンデミックの始まった2020年前半は例年と変わらなかった。これは、2020年前半の学校閉鎖や外出自粛のために同胞や両親の家庭内滞在時間が長くなり、乳児が家庭内でHHV-6/7に曝露する機会が増えたためと考えられた。HHV-6/7の伝播様式は正確には不明とされているが、ウイルスが感染すると体内に潜伏し、唾液中から排泄される。そのため、同胞や両親の唾液中に含まれるウイルスに曝露された乳幼児が感染し、突発性発疹を発症すると考えられてきた。COVID-19流行下でも突発性発疹の発生率の減少がみられなかったこと、乳児の患者数の2020年の前後半における差異は、HHV6/7のおもな感染経路は市中ではなく家庭内であることを示唆し、従来の伝播様式の仮説を支持した。(著者抄録)
- ID情報
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- ISSN : 0303-8092
- 医中誌Web ID : 2022251122