共同研究・競争的資金等の研究課題

2021年4月 - 2024年3月

ケミカルバイオロジーによるCOVID-19の重症化率における性差の解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業  基盤研究(C)

課題番号
21K07036
体系的課題番号
JP21K07036
配分額
(総額)
4,160,000円
(直接経費)
3,200,000円
(間接経費)
960,000円

新型コロナウイルスのアウトブレイク以降、急速にその感染は拡大し、全世界で100万人を超える死亡者と、甚大な社会的・経済的な被害をもたらしている。新型コロナウイルス感染者の男女別統計によると、男性の重症化率および死亡率は高く、他の感染症よりも男女差が顕著であることが報告されている。
本研究では、申請者らが新規に同定したエストラムスチンリン酸エステルナトリウム(エストラサイト)による新型コロナウイルスの増殖抑制機構を解明する。エストラサイトは、標的タンパク質に不可逆的に結合するナイトロゲンマスタード基がエストラジオール(女性ホルモン)に付加された化合物である。ナイトロゲンマスタード基は非特異的に作用するため、エストラサイトはエストラジオールと同一の標的タンパク質に作用すると推測される。そこで、エストラサイトをプローブとしたケミカルバイオロジー的なアプローチにより、女性ホルモンで制御される新型コロナウイルスの増殖機構を明らかにすることで、性差による重症化リスクを決定する責任分子の同定をめざす。さらに、エストラサイトの誘導体展開を進め、新規抗コロナウイルス薬の開発にも資する。
R3年度では、エストラサイトの抗新型コロナウイルス活性は、IC50値で1microM以下であり、強い抗ウイルス活性を観察し、細胞種によらず、同様な抗ウイルス活性であることを示した。また、ヒトACE2トランスジェニックマウスで抗ウイルス活性を評価したところ、in vivoでも顕著にマウスの生存率を改善することができた。現在、エストロゲン受容体の変異体解析を進めており、エストロゲン受容体による転写制御活性がどのようにコロナウイルスの性差を決定するのか、詳細な解析を進める予定である。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-21K07036
ID情報
  • 課題番号 : 21K07036
  • 体系的課題番号 : JP21K07036