基本情報

所属
浜松医科大学 医学部 教授

J-GLOBAL ID
200901052271479504
researchmap会員ID
1000166042

外部リンク

我々の教室の研究テーマである「Cl-ホメオダイナミクスによる神経回路機能制御」は、私がまだ留学中であった1992年1月、幼若な神経細胞ではCl-の平衡電位が理論式どおりであるのに対し、成熟細胞では矛盾した値をとる事を偶然発見したのがきっかけでした(J. Neurophysiol. 1993)。ご存知のように抑制性神経伝達物質であるGABAは、GABAA受容体-Cl-チャネルを開口させて電気化学勾配に従ったCl-の流入による膜電位の過分極によって抑制機能を発揮しますので、細胞内Cl-濃度([Cl-]i)の変化はGABA作用を変化させることになります。本来過分極性に働くはずのGABAの作用が幼若時期では脱分極性であることに大変興味を抱きましたが、当時Cl-トランスポーターはまだクローニングされておらず、神経細胞の[Cl-]i調節機構(Cl-トランスポーター)についての論文がいくつかではじめた頃で、まだ未知の領域でした。帰国後の1997年、当時の重点領域研究「神経回路の機能発達」の科研費「発達期の大脳皮質抑制性神経回路の特殊性に関与するCl-トランスポーターの役割」をいただきこの課題に本格的に取り掛かり、利尿剤によって神経細胞の[Cl-]iを増加させると、もともと抑制性であったGABA作用が興奮性に逆転し、これがさらにグルタミン酸作動性の興奮性神経伝達を刺激し、神経回路が抑制喪失-興奮過剰の状態になることを見出しました。そして、「Cl-ホメオダイナミクス仮説=[Cl-]iは従来考えられていたほど‘静的’でなく、種々のCl-トランスポーターの作用によりダイナミックに変化し、その結果GABAの作用も抑制から興奮までダイナミックに変化する」という概念に至りました(J. Neurophysiol. 1998)。同じころ、Cl-トランスポーター分子として細胞内にCl-を運ぶNKCC1と細胞外へCl-を運ぶKCC2が米国のグループによってクローニングされ、以降、神経系の発達における興奮性GABA作用とCl-トランスポーターの関係は多くの研究者の興味を引くようになりました。
我々は脳スライス標本にCl-、Ca2+や膜電位のイメージング法,パッチクランプ法,2光子顕微鏡法を適用し、Cl-ホメオスタシスによる神経回路機能のダイナミックな調節を明らかにしてきました。in utero電気穿孔法を用いて、特定の分子あるいは細胞をGFP等で蛍光標識したりその発現を制御して、脳が神経発生、細胞移動とシナプス形成により創られていくメカニズムや神経疾患の病態に関する神経回路機能のダイナミクスなどにおけるCl-ホメオスタシスの制御機構の関与を研究しています。

論文

  138

MISC

  104

書籍等出版物

  18

講演・口頭発表等

  104

共同研究・競争的資金等の研究課題

  56