共同研究・競争的資金等の研究課題

2016年4月 - 2020年3月

受傷アスリートの心理的成長過程の検討

日本学術振興会  科学研究費助成事業 若手研究(B)  若手研究(B)

課題番号
16K16555
配分額
(総額)
3,770,000円
(直接経費)
2,900,000円
(間接経費)
870,000円

以前より、スポーツ傷害はアスリートの心理に対してネガティブな影響を与えることが主張されてきたが、近年はスポーツ傷害の持つポジティブな側面に注目されるようになってきた。そこでは、受傷後のアスリートは、技術の向上や筋力の増加といった身体的側面、自信やモチベーションの増加といった心理的側面、ソーシャルサポートの獲得やネットワークの拡大といった社会的側面での成長が見られることに言及されている(例えば、Waday et al.,2011)。しかし、これらの研究では受傷後のどのような体験が成長につながるのかを十分に説明してこなかった。そこで、本研究は、アスリートの受傷体験が心理的成長に与える影響を明らかにし、当該アスリートに対する心理支援方法の確立への示唆を得ることを目的とすることとした。
本研究では、質問紙調査による量的研究および心理相談事例や面接調査による質的な分析を行うことを予定しておあり、まず心理相談事例の分析を進めた。これまでに怪我をきっかけにアスリートが心理相談に来談し、複数回のセッションを継続した。その中で受傷アスリートは自分を見つめ直す機会を増やしていった。心理相談事例の分析を通して、受傷アスリートが心理的成長を果たすためには、自身の怪我を受け入れた上で、自身の身体や心理、社会的な役割など新たな側面に気づき、自身の役割や特徴を明確化していくことが必要だと考えられた。今後はアスリートの機密性を担保した上で、論文化を目指す予定である。

ID情報
  • 課題番号 : 16K16555