1989年 - 1990年
金融機関の相互進出の各国金融市場に及ぼす影響についての実態的国際比較研究ー環太平洋先進国を中心としてー
日本学術振興会 科学研究費助成事業 一般研究(C)
本研究の目的は、(1)環太平洋地域に所属する先進4ケ国(日本、カナダ、米国、豪州)における金融のグロ-バル化の重要な一部を構成する金融機関の相互進出の実態を明らかにし、(2)それが進出先の金融市場にどのような影響を与えているかを実証的に検討し、金融機関の相互進出が金融業態間の垣根を含めた金融システムに与える効果を分析する。(3)各国の実態とその影響について国際比較を行い、各国共通のあるべき金融機関相互進出の形態と金融システムの在り方について政策提言を行うことにあった。このような研究目的に向けて作業を行った結果、以下のような研究成果をあげることができた。石垣論文「在日外銀と在外邦銀の国際比較ー日、米、英市場を中心としてー」では我が国への外銀の進出と邦銀の米、英の進出の状態の類似点と相違点を明らかにした上で、なぜ金融摩擦が生じているのかを制度的側面と銀行行動の側面から解明した。石垣論文「金融の自由化と新しい金融政策ー1980年代のオ-ストラリアのケ-ス」ではオ-ストラリアにおける金融の自由化の実態とそれから生ずる金融システムの安定性の問題を含む金融政策上の問題を検討した。三木谷論文は米国における外国銀行の進出と活動の前提条件を構成する金融イノベ-ションと金融自由化を日米間の比較を通して明らかにした。地主論文「カナダ:超大国の隣で」は外銀の進出問題を含めて最近のカナダの金融システムの変化を明らかにした。井澤論文「ECの経済・通貨統合(EMU)についての展望」はECで形成されつつある通貨・金融統合問題を考察することによって金融制度や金融機関の在り方についての手掛りを与えてくれる。本研究によって明らかになった最も重要な点は、金融のグロ-バル化の流れは必然的であり、各国金融システムの統合化は今後強まらざるを得ないということである。
- ID情報
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- 課題番号 : 01530054
- 体系的課題番号 : JP01530054