共同研究・競争的資金等の研究課題

1993年 - 1994年

光反応性点欠陥を利用した高効率屈折率グレーティング形成ガラスの開発

日本学術振興会  科学研究費助成事業 試験研究(B)  試験研究(B)

課題番号
05555235
体系的課題番号
JP05555235
配分額
(総額)
7,000,000円
(直接経費)
7,000,000円

(1)GeO_2-SiO_2系ガラスにおける光透起屈折率変化(LIRC)は5eV付近に吸収を与える酸素欠乏型欠陥のうち2つのGe^<4+>に配位された酸素が抜けた中性酸素モノ空孔(NOMU)が光反応でGe E'中心に転化することにより生じる。よってNOMUの濃度を増大させることが、LIRCの高効率化につなかせることがわかった。
(2)NOMUの濃度は水素ガス雰囲気下でガラス転移点以下の温度である500℃付近で加熱することにより選択的に処理前に比べ1桁ほど増大させることができることを見出した。
3)高周波スパッターリング法で作製したGeO_2-SiO_2ガラス薄膜は真空下350℃付近でアニールすることにより5eV吸収帯が明瞭に分離した状態を実現でき、NOMUの濃度をバルク試料に比べ1〜2桁増大させることが可能であった。
(4)Geドープシリカガラスファイバーの紡糸プロセスでのエキシマーレーザー光のパルスによるグレーティング形成の可能性を調べるために、紫外レーザー光と水銀ランプ光の照射の光反応の差異を検討した。レーザー光では2光子吸収過程によりバンドギャップ励起を経てGe electron cntersとself-trapped holeが生成し、ランプ光照射の場合と異なりNOMUのGe E'中心への転化は観察されなかった。生じる光反応が1光子過程力2光子過程力により決定的に異なることが明らかになった。
(5)イオン注入により光反応性欠陥の生成とその光反応性を検討した。GeO_2-SiO_2ガラスへのプロトン照射ではNOMU濃度の顕著な増大が観察された。一方SiO_2ガラスへP,Bを注入した場合はNOMUと同様の5eV吸収帯が大きな強度で誘起されたが、光照射ではSiE'中心の生成は見られず、260〜190nmの全域で吸収帯のブリーチングが観察された。
(6)前者では△nの符号は正、後者では負であることがわかった。SiO_2:A1ガラスに放射線照射をおこなうと可視が紫外域にかけてA1-OHCとA1 E'中心による強い吸収帯が誘起されたが、光ブリーチングはおこらず、グレーティング形成ガラスとしては有望ではないことがわかった。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-05555235
ID情報
  • 課題番号 : 05555235
  • 体系的課題番号 : JP05555235