共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2022年3月

万葉集仙覚校訂本の総合的研究―成立過程・校訂の方法・享受の様相の解明―

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
18H00646
体系的課題番号
JP18H00646
担当区分
研究分担者
配分額
(総額)
16,640,000円
(直接経費)
12,800,000円
(間接経費)
3,840,000円

本研究は、万葉集仙覚校訂本について、①生成過程の研究、②仙覚の学問との関連、③後代の享受の様相の三つに分けて研究を行っている。
①では、目覚ましい進展があった。研究代表者田中大士は、『衝撃の『万葉集』伝本出現』を刊行し、万葉集仙覚校訂本に至るまでの経緯をまとめて公表した。これは、従来の仙覚校訂本生成の認識を大きく塗り替える成果として評価された。また、仙覚校訂本の伝本の一つである金沢文庫本万葉集の系統上の性格を明らかにした。この成果は、これまで全く不明であった仙覚校訂本の第一次校訂本(寛元本)以降の展開の様相を明らかにするうえで重要な手がかりを与える研究である。寛元本の伝本についても、古筆切研究の観点から、当時の伝本の姿を明らかにした。また、研究分担者の新沢典子が、寛元本系統の複数の伝本の関係を明らかにする研究を行い、寛元本研究に大きな進展をもたらした。
また、研究分担者大石真由香は、万葉集禁裏御本の研究を続けているが、その過程で、従来ほとんど伝本の存在が知られていなかった文永十年本以前の仙覚校訂本伝本を複数発掘している。
②は、仙覚の注釈書『万葉集注釈』と仙覚校訂本との比較により、仙覚の校訂方針、読解の方法をあぶりだす作業を行っている。ただし、コロナ禍の影響で、成果発表ができていない。
③は、研究協力者の甲斐温子が、中世の万葉集関係の歌書『万葉類葉抄』を多角的に調査し、学会誌などに発表している。また、江戸期の万葉集平仮名傍訓本については、新出の伝本を購入し(日本女子大学本)、また、獨協大学所蔵の伝本の写真も入手し、調査の範囲を全体7本(従来5本)に拡大し、調査を進展させた。調査対象が増えることにより、平仮名傍訓本全体の様相が明らかになりつつある。成果は、研究協力者の古澤彩子により口頭発表された。なお、全体の調査は、研究協力者の若手研究者複数人によって遂行されている。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18H00646
ID情報
  • 課題番号 : 18H00646
  • 体系的課題番号 : JP18H00646

この研究課題の成果一覧

論文

  9

MISC

  2

講演・口頭発表等

  4