入院時アンケート調査に基づいたがん告知の現状について報告した.対象は,入院時に肺がんが疑われた20歳以上の入院患者85例(男性55例,女性30例)およびその家族で,有効回答は患者60例,家族34例であった.入院患者では,検査結果・病状経過などを「詳しく知りたい」60.0%,「医師の判断に任す」26.7%,「詳しく知りたいが医師の判断に任す」6.7%で,病名告知を希望した人は76.7%,希望しない人8.3%,どちらともいえないが10%であった.難治性病気で家族が病名告知を反対した場合は「自分の責任において正しい病名を知りたい」46.7%,「家族の意向に従う」31.7%であった.家族の場合は,「難治性でも本当の病名を知らせて良いか」肯定が66.7%,否定的24.2%で,患者と家族で医療に対し考えが異なる場合「本人の考えを優先する」48.5%,「医師に任せる」39.4%,「家族の考えを優先する」6.3%であった.実際に告知されたのは悪性腫瘍患者の77.3%で,予後に関する告知まで行われたのは25%であった