2020年8月
病診薬連携で行う吸入支援のアウトカムの評価
医療薬学
- 巻
- 46
- 号
- 8
- 開始ページ
- 405
- 終了ページ
- 413
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 研究論文(学術雑誌)
- 出版者・発行元
- (一社)日本医療薬学会
喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者に対し吸入指導外来の支援体制開始によってもたらされる治療アウトカムについて、観察研究により評価を行った。2013年7月〜2019年7月末に呼吸器内科医師・病院薬剤師・保険薬局薬剤師との合同講習会を11回実施し、吸入デバイス、スペーサー、補助具の理解度が上昇したことがアンケート調査から分かった。当院では2013年12月に吸入指導外来を開設してから2018年12月まで、延べ3120回の吸入指導(月平均約50名)を行った。吸入薬説明手順、評価項目表の評価の内訳は、特に問題なしが88.9%(1642件)となっていたが、吸入方法不備・吸入意義の理解不足の報告も3.5%(65件)と一定数あった。吸入指導外来開設前後の緊急入院患者数、同時期の喘息またはCOPD外来受診患者数は、有意差はなかったものの開設前と比較して緊急入院患者数は減少傾向を示した。開設4年後、COPD(喘息合併を含む)の症例では、緊急入院患者数/外来受診患者数は、開設前と比較し、緊急入院患者数は有意に減少していた。また、緊急入院となったCOPD患者の重症度別では、Stage IV以外の比較的軽症のCOPD症例で緊急入院患者数が減少していた。一方、喘息のみの診断歴の患者では、緊急入院患者数の顕著な減少は認められなかった。医師を対象としたアンケート調査では、呼吸器内科担当の外来看護師中87%が吸入指導を業務負担と感じていた。吸入指導外来開設後は、全ての看護師が業務負担の軽減を実感していた。
- ID情報
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- ISSN : 1346-342X
- eISSN : 1882-1499
- 医中誌Web ID : U821420001