共同研究・競争的資金等の研究課題

2017年4月 - 2020年3月

市場変動が企業の国際化に与える影響に関するミクロ実証分析

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
17K03705
体系的課題番号
JP17K03705
配分額
(総額)
4,030,000円
(直接経費)
3,100,000円
(間接経費)
930,000円

2年目にあたる平成30年度は、初年度に整備したデータベースを利用した実証分析とその成果発表を重点的に実施した。第一に、国際化企業が外国市場の急激な市場変動にどのような対応をするのかについて企業レベルのデータベースを利用して実証分析を試みた。その結果、海外市場のショックに対して、日本企業が雇用調整によって対応している実態が明らかとなった。特に雇用者を正規雇用と非正規雇用とに分けた分析から、企業が非正規雇用者を削減することでショックの影響を吸収していることが示された。さらに、この影響は企業規模に応じて異なり、小規模企業については非正規雇用に限らず正規雇用の減少も確認された。国際市場の変動ショックに対して規模が小さい企業ほど雇用調整に踏み切らざるを得ない実態が示唆され、この結果はショックに対する復元性の強い経済を考える上で基礎資料を提示している。
第二に、国際市場の変動ショックとして輸入の変動が国内の政策選好に与える影響についても実証分析を試みた。具体的には国政選挙の立候補者に対して選挙期間中に実施した政策選好に関する調査回答から国内産業保護を訴えている候補者や選挙区を特定することによって、選挙区レベルの貿易ショックと保護主義の関係性について実証分析を加えた。興味深い点として、選挙の競争が激しい選挙区ほど保護主義を支持する確率が高まる傾向が統計的に確認された。この結果は、貿易ショックと政治的な重圧が相互補完的に保護主義化を促すことを示唆しており、日本のみならず他国においても特に選挙時に保護主義への傾倒が見られる実態と整合的である。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-17K03705
ID情報
  • 課題番号 : 17K03705
  • 体系的課題番号 : JP17K03705