論文

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2020年3月

日本における前近代サハリン・樺太史研究の動向:1264-1867

北方人文研究
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  • 東 俊佑

13
開始ページ
61
終了ページ
97
記述言語
日本語
掲載種別
研究論文(学術雑誌)
出版者・発行元
北海道大学大学院文学研究院北方研究教育センター

本稿は、戦前から現在までの、日本における前近代サハリン・樺太史研究の研究史を、「1 戦前」「2 戦後から1986年」「3 1987〜1990年代」「4 2000年代」「5 2010年代」の5つの時期に分けて整理し、各期における研究動向の特徴を分析するものである。サハリンのアイヌ(骨嵬)がモンゴル軍と交戦したことが中国の歴史書に見える1264年から、日本の江戸幕府が崩壊する1867年の出来事に言及した論考を対象としている。前近代サハリン・樺太史研究は、1987年以降、飛躍的に進展する。そのテーマの主軸は、サンタン交易と清朝辺民制度、及びそれに係る交易品としての「蝦夷錦」の研究と、サンタン交易前史としての13〜16世紀におけるモンゴル・元・明王朝のアムール・サハリン地域への進出と周辺諸民族に対する朝貢交易の実態解明であった。サハリン・樺太とその周辺の北海道、ロシア沿海地方などをも含む北東アジアという枠組みで展開された地域史研究は、やがて2000年代になると、科学研究費による学際的な共同研究などとして、活発に行われる。その一方で、サハリン・樺太の歴史自体を考察しようとする研究姿勢も見られるようになり、サハリン・樺太史研究が一つのジャンルとして確立していく。こうした一連の流れは、現代において少数民族とされるアイヌ、ウイルタ、ニヴフを、前近代におけるこの地域の多数者(マジョリティ)=歴史の主人公として見つめ直し、彼らの活動や文化を歴史のなかに位置づける研究の潮流であったと言える。

リンク情報
共同研究・競争的資金等の研究課題
蝦夷地のアイヌ有力者が入手した外来交易品と勘定システムの成立に関する研究
URL
http://hdl.handle.net/2115/77244 本文へのリンクあり

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