共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2023年3月

なぜ神経障害性疼痛は傷害された末梢神経の支配領域を超えて広がるのか?

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
20H03775
体系的課題番号
JP20H03775
配分額
(総額)
10,660,000円
(直接経費)
8,200,000円
(間接経費)
2,460,000円

令和3年度は週齢10週以上の大型成熟ラットから後根付き脊髄縦断スライスを作成できることを証明することができた。また、この縦断スライスを用いると後根進入部付近の後角細胞の興奮だけでなく、L5腰髄節から頭尾方向に少なくとも2分節くらいは脊髄後角神経細胞の興奮が広がることを証明することができた。また、従来の横断スライスと同様にオピオイドの投与により神経興奮の強さや興奮の広がる面積が縮小することを確認できた。さらに、bicuculline(GABA-A受容体拮抗薬)により興奮の強さが増強することや興奮の頭尾方向への広がりが大きくなることも観察することができた。以上のことから、後根付き脊髄縦断スライスを用いて、脊髄後角神経細胞の興奮の頭尾方向への広がりを評価できる方法論を確立できたと考えられる。
また、脊髄の髄腔内にカテーテルを挿入する技術も確立できた。当初はカテーテルを脊髄腔内に挿入すると約半分のラットで何らかの神経障害が発生し、薬液の作用を観察できるような技術レベルではなかったが、現在ではほぼ全例で神経障害を起こすことなくカテーテルを挿入することが可能になった。そのカテーテルから、局所麻酔薬を注入すると後肢の運動麻痺が起こること、数時間で神経障害を起こすことなく麻痺から回復することも確認できた。逆に、bicucullineを注入すると疼痛閾値が明らかに低下すること、数時間で正常に戻ることも確認できた。以上のことから、トロンボスポンディンを含んだ薬液を注入する技術も確立できたと考えられる。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20H03775
ID情報
  • 課題番号 : 20H03775
  • 体系的課題番号 : JP20H03775

この研究課題の成果一覧

論文

  2

講演・口頭発表等

  1