2010年度 (筑波大)

カテゴリ:関数論:1・2学期

関数論 (11月15日)

最終回。

今回は無限遠点での留数の話。
今年度の講義では、教科書に従って留数を表す記号を ${\rm Res}_{z=a}f(z)dz$ としたので、
変数変換のルールによって無限遠点での留数を定義する。
この定義の良いところを示すために、
複素平面内に有限個の孤立特異点をもつほかは正則な関数の
リーマン球面上での留数をすべて足すとゼロになることの証明。
このことを有理関数に適用すると、非自明な関係式が得られる。
講義ではその例として
$\frac{a^3}{(a-b)(a-c)}+\frac{b^3}{(b-a)(b-c)}+\frac{c^3}{(c-a)(c-b)}$
の計算を実行した。
( ちなみに、分子のベキを 3 ではなくて一般の整数にすると、どのような値が得られるか?
  というのを考えてみると面白いかも )
最後に、関数の正則性と留数がゼロかどうかの関係について述べて、
留数は 1次微分形式に対して定義されるべきものだという話をして終了。

今日の反省:関数論の講義は久しぶりなので、
講義のペースを調整するのに多少手間取ったように思う。
偏角の定理とルーシェの定理の話をしたのは今年度が初めてだったけど、
一方で、講義で話せなかったこともいくつか残っている。
また今度、担当するときに、ノートの見直しをせねば。

次回 11月22日は試験。