2013年度

講義情報(2103)

2013年度・担当講義一覧

2013年度は微積分I(春学期・数学対象)、微積分II(秋学期・数学対象)、微分方程式(春AB・秋AB)、解析学IIIA・IIIB(大学院)を担当しました。

だんだん忙しくなってきたため、更新が途絶えがちです。
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1月6日~1月29日

更新するのをすっかり忘れていたので、年度末にまとめて
(来年度からは止めるかもしれません)。

微積分II:1月7日・8日・14日・15日・22日・28日・29日
関数列の一様収束、関数項級数の一様収束(ワイエルシュトラスのM判定法)、
ベキ級数の収束半径、収束円板内での微分・積分可能性あたりまで。

解析学IIIB:1月6日・21日・27日
これまでの一般論を Barnes の多重ゼータ関数、多重ガンマ関数に適用して、
さまざまな性質を導出。最後に Henkel 型積分表示まで。
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12月9日~12月26日

かなり開いたけどまとめて。

微積分II:12月11日・17日・18日・24日
重積分の広義積分の計算例。重要な例としてガウシアンの積分の計算。
2変数関数のグラフが定める曲面の面積の公式と計算例。
重積分の話は以上で終わりで、残りの期間は関数列の話。
各点収束、一様収束の定義まで。

解析学IIIB:12月9日・16日・25日
多重ガンマ関数の「一般化」の log が、
実軸の0以下の部分以外に解析接続できること。その漸近展開。
さらに、その積分表示を導出した。
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12月2日~12月6日

微積分II: 12月3日・4日
重積分の変数変換を用いた計算例(極座標変換とアフィン変換)。
重積分の広義積分の定義と計算法(コンパクト近似列をとる)まで。

微分方程式: 12月2日
円板上のディリクレ問題に対するポアソンの積分表示式について、
境界条件を満たすことのきちんとした証明。
3次元のラプラス方程式に対する境界値問題について少しだけ。

解析学IIIB: 12月2日
多重ガンマ関数の log の「一般化」が、実軸の負の部分以外に
解析接続できることの証明の準備として、
ラプラス変換の解析接続可能性についての命題を証明した
(Ruijsenaars の差分方程式の論文の Appendix B)。
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11月18日~11月29日

二週分まとめて。

微積分II: 11月19日・20日・26日・27日
一般の積分領域上での重積分の定義。
ジョルダン外測度・内測度、ジョルダン可測集合の定義。
ジョルダン可測集合上の連続関数はリーマン積分可能であること(証明は略)。
フビニ型の定理と積分の順序交換。
重積分の変数変換の公式の「説明」まで。

微分方程式: 11月18日・25日
円板上のディリクレ問題の解の一意性(存在すれば)。変数分離による解法。

解析学IIIB: 11月18日・25日
Mellin-Laplace 変換を使って多重ゼータ関数の一般化が定義できる。
極における留数、負の整数点での値の計算。
さらに、ここから多重ガンマ関数の log の「一般化」が定義できる。
その具体的表示を与えるところまで。
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10月28日~11月15日

多忙ではなかったけど三週分まとめて。

微積分II:10月28日・10月29日・11月12日・11月13日
2変数の二次形式の符号判定と、それを使った極値問題の解法。
陰関数定理。ラグランジュの未定乗数法と条件つき最大・最小問題の解法。
有界閉区間上の重積分の定義まで。

微分方程式:10月27日・11月6日・11月11日
一次元の熱方程式の初期境界値問題を変数分離で解く方法。
最大値・最小値の原理と解の一意性。
2次元の調和関数の性質まで。

解析学IIIB:10月27日・11月6日・11月11日
Hurwitz ゼータ関数とガンマ関数の関係。
Barnes の多重ゼータ関数の定義。積分表示。多重ガンマ関数の定義。
Ruijsenaars さんの一般論に入って、Mellin-Laplace 変換の解析接続まで。
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10月15日~10月25日

この期間は多忙だったため二週分まとめて。

微積分II (10月15日・22日・23日 (16日は台風のため休講)):
合成関数の微分、高次偏導関数、多変数のテイラーの定理。
次に極値問題の解き方の話をするが、テイラーの定理から二次近似式を導出して、
極値をとる点の候補では二次の部分の挙動が問題となること、
その二次の部分がヘッセ行列に対する二次形式になっていることまで。

微分方程式 (10月17日・21日):
17日は一次元の非斉次波動方程式の初期値問題に対する解の公式の導出。
21日は一次元の熱方程式(実数直線上)の解の公式の証明(熱核との畳み込み)、
の途中でつまづいたので、次回はそのフォローをします。

解析学IIIB (10月17日・21日):
Plana の公式の証明の残りを話して、ガンマ関数の Binet の公式を証明。
そして、Hurwitz ゼータ関数の Hermite の公式の証明まで。
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10月1日~10月11日

秋学期は10月1日から。

微積分II (10月1日2日8日9日):
n 次元ユークリッド空間の距離の定義。距離の公理を満たすこと
(三角不等式の証明はプリントで)。
位相に関する概念の定義と意味の解説
(イプシロン近傍、内点・外点・境界点、内部・境界、近傍、開集合・閉集合・閉包、有界)。
関数の極限、連続関数の定義。有界閉集合上の連続関数は最大値・最小値をもつこと(証明は略)。
全微分可能性の定義式から偏微分係数の定義。偏導関数の定義。
全微分可能性と接平面の存在について。

微分方程式(10月7日):
2変数2階半線形偏微分方程式の分類(結果のみ)。
1次元波動方程式の初期値問題について、ダランベールの公式の導出。

解析学IIIB(10月7日):
Ruijsenaars さんの論文
On Barnes' Multiple Zeta and Gamma Functions
を理解することを目標とする。
始めに動機付けとして、ガンマ関数とフルヴィッツゼータ関数の関係式を証明する。
そのための準備として、プラナの公式の証明。

数学セミナーB(10月4日):
受講者は2名。以下の二冊をそれぞれの担当のテキストとして輪講する。

ひまわりの螺旋 (数学のかんどころ 8)
来嶋 大二
共立出版(2012/01/25)
値段:¥ 1,575


力学と微分方程式 (数学書房選書)
山本 義隆
数学書房(2009/08)
値段:¥ 2,415

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7月16日~7月30日

更新が大幅に遅れたので、まとめて。

微積分I (7月16日・23日・30日):
実数の連続性に関する微積分の基礎定理について。
単調有界収束列の収束から、e の存在、中間値の定理の証明。
ボルツァノ・ワイエルシュトラスから、有界閉区間で連続な関数は一様連続であること。
これを使って、有界閉区間において連続な関数はリーマン積分可能であること。

解析学IIIA (7月22日・24日・29日):
ガウスの超幾何関数の積分表示について。
ベータ関数とガンマ関数の関係を復習して、オイラー型積分の導出。
バーンズ型積分表示を導出するために、ガンマ関数の漸近展開の証明。
準備として、オイラー・マクローリン展開の簡単な場合を証明して、
バーンズ型積分表示については概略のみ(収束性の証明が面倒)。
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7月8日~7月12日

解析学IIIA (7月8日):
ガウスの超幾何級数の z=1 での値の計算の続き。
\gamma に関する隣接関係式。それを繰り返して極限をとれば、
ガンマ関数の比として書く表示が得られる(ガウスによる計算法のフォロー)。
この公式の応用として、z=0 と z=1 の接続公式の証明の粗筋。

微積分I (7月9日):
広義積分の絶対収束性について。
絶対収束する広義積分は収束すること。その応用として、広義積分の収束判定法。
後半は収束判定の具体例といろいろと。
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7月1日~7月5日

解析学IIIA (7月1日):
ガウスの超幾何方程式の z=1 における解 (z=0 の場合からすぐ分かる)、
z=∞における解 (こちらは結果のみ)。
この次は、ガウスの超幾何級数の z=1 での値の導出。
そのための準備として、ガウスの収束判定法とアーベルの定理の証明。

微積分I (7月2日):
広義積分の定義と計算例。部分積分、置換積分なども丁寧にやってみる。
広義積分の計算に使われる極限の公式 (x^{n}e^{-x} -> 0 など)の証明はプリントで。
次回に「絶対収束する広義積分は収束する」ことの証明をするので、
そのための記号の準備など。
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6月24日~6月28日

微分方程式 (6月24日):
二次元の一階線形偏微分方程式の一般初期値問題の解法。
まず、具体例で実際にやってみて、一般的な定理は解の構成法のみ説明した。
春学期の講義は今回で終了。レポートの提出期限は7月8日。

解析学IIIA (6月24日):
確定特異点のまわりの解の構成の続き。exponent の定義。
exponent の差が整数でない場合については、この講義では省略。
無限遠点の近傍において方程式を調べる方法(独立変数の変数変換の仕方)。
ガウスの超幾何微分方程式。原点のまわりで解いて、
ガウスの超幾何級数を導出するところまで。

微積分I (6月25日):
有理関数の原始関数の計算法。部分分数分解が可能であることの証明は略。
応用として、三角関数の有理関数の積分法(tan(x/2)=u とおけばよい)。
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6月17日~6月21日

微分方程式 (6月17日):
残りの二回で一階線形偏微分方程式の話。
偏微分方程式の定義。階数、線形・非線形の概念。
一階線形偏微分方程式の特性曲線。
特性曲線上で考えるともとの方程式が一階の線形常微分方程式に落ちること。

解析学IIIA (6月17日):
超幾何の話に入る。準備として、複素平面上の線形常微分方程式の話。
ただし、二階の場合に限る。
正則な点の近傍では独立な正則解がベキ級数展開で作れることを、
ルジャンドルの方程式の場合にやって見せた(原点の近傍)。
確定特異点の定義。確定特異点における解の構成の途中(決定方程式を出すところ)まで。

微積分I (6月18日):
定積分の基本的な性質(証明は略)。原始関数の定義。微分積分学の基本定理。
最後に、置換積分法と部分積分法を証明つきで。
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6月10日~6月14日

微分方程式 (6月10日):
単独高階斉次線形微分方程式について。
初期値問題の解の存在と一意性、解空間の次元については、
連立一階の場合に帰着させればよい。
基本解の構成については、微分作用素を因数分解して求める方法を話した。

解析学IIIA (6月10日):
フルヴィッツの公式の証明の残り。
この公式からゼータ関数の関数等式が得られる。
ゼータ関数のオイラー積表示。特に、Re>1では零点を持たないこと。
このことと関数等式から、自明な零点以外は 0≦Re≦1 の範囲にあることが分かる。
最後にリーマン予想の statement を紹介して、ゼータ関数の話は終了。

微積分I (6月11日):
定積分の定義。リーマン積分可能な関数、可能でない関数の例
(可能であることの証明は略)。区分求積法も結論のみ紹介した。
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6月3日~6月7日

微分方程式 (6月3日):
定数係数斉次線形方程式の基本解行列の構成。
行列の指数関数の定義と、ジョルダン標準形を使ってそれを計算する方法まで。

解析学IIIA (6月3日):
フルヴィッツゼータのハンケル積分表示の続きから。
ハンケル積分表示によって複素平面全体に定義域を拡張(解析接続)する。
負の整数点での値を書くために、ベルヌーイ多項式とベルヌーイ数を導入。
Re<0 の範囲で無限和に展開するフルヴィッツの公式の証明の途中まで。

微積分I (6月4日):
(実)解析性、テイラー級数展開の定義。
sin, cos, exp, log, ベキ関数のテイラー級数展開 (解析的であることの証明は、
最初の三つに関してのみプリントで配布)。
テイラー級数展開を使って不定形の極限を計算する方法まで。
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5月27日~5月31日

微分方程式 (5月27日):
斉次線形常微分方程式の解空間の次元がシステムサイズと等しいこと。
ロンスキアンが満たす微分方程式と、基本解行列の定義まで。

解析学IIIA (5月27日):
ガンマ関数のハンケル型積分表示の話の残り。
ゼータ関数の定義。フルヴィッツゼータの積分表示と、ハンケル型積分表示まで。

微積分I (5月28日):
微分可能性の言い換えの復習。ランダウの o 記号の導入。
テイラー展開の動機付けと係数の予想。この話のなかで高階導関数の記号を導入。
テイラーの定理。剰余項はラグランジュで、証明はプリントにして配布。
最後に、C^{n} 級の定義をして、漸近展開の公式の証明の方針を述べて終了。
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5月20日~5月24日

微分方程式 (5月20日):
正規型の連立常微分方程式の解の存在と一意性について。
ベクトルのノルムを導入すれば、
積分の評価に必要な不等式(ノルムを積分のなかに入れる)を使って、
単独のときと同様に証明できる。
特に線形の場合は、初期値問題の解が任意の初期値に対して一意的に存在する。

解析学IIIA (5月20日):
ガンマ関数の関数等式(z と 1-z をつなぐもの)。
ガンマ関数の積分表示、ふつうのものとハンケル型。
ハンケル型については途中まで。

微積分I (5月21日):
極大・極小の定義。微分可能な点で極値をとるなら微分係数はゼロであること。
ロルの定理(閉区間で連続な関数は最大値・最小値を持つことは認める)と、
それを使った平均値の定理の証明まで。
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5月5日〜5月17日

5月5日は祭日のため、5月6日に振り替え。二週間分をまとめて。

微積分I (5月13日):
初等関数について。逆三角関数の定義。
初等関数の導関数の計算を順に実行した。
逆三角関数については時間切れなので次回に。
(メモ:初回のレポートで「高校で学んだ微積分について疑問に思ったことは?」
とアンケートをとったら、「なぜ sinx の微分が cosx になるのか分からない」
という感じの回答があった。)

微分方程式 (5月6日・12日):
5月6日は正規型の1階の方程式の初期値問題の解の存在定理。
5月13日は、解の一意性と、初期値に関する(リプシッツ)連続性の証明。
途中でグロンウォールの不等式の簡単な場合も証明した。

解析学IIIA (5月6日・12日):
5月6日は余接関数の部分分数展開。
5月12日は最初に正弦関数の無限積表示の証明。
次にガンマ関数の定義から種々の表示、基本的な関数等式(1ずらし)の証明まで。
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4月22日~5月2日

4月23日の微積分Iは健康診断のため休講、4月29日は祭日のため講義はなし、
なので、この二週間分をまとめて。

微分方程式 (4月22日):
1階の正規型常微分方程式で可解なものの解き方。
変数分離型、同次型、線型方程式の三つの場合に。

解析学IIIA (4月22日):
関数項級数の対する Weierstrass の M-判定法。
無限積の収束、無限積の絶対収束の定義。絶対収束する無限積は収束すること。
関数の無限積に対する M-判定法は statement だけ述べて、証明はプリントで次回配布。

微積分I (4月30日):
レポートを返却。
講義は微分可能、微分係数、導関数の定義から。
微分可能性の言い換え(1次近似ができること)の同値性の証明。
微分操作の基本的な性質は、教科書を参照。
合成関数・逆関数の微分の公式の精密な証明はプリントで。
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4月15日~19日

2013年度の担当講義は、微積分I(春A,B,C, 数学対象)、微積分II(秋A,B,C, 数学対象)、微分方程式(春A,B, 秋A,B)、解析学IIIA(春A,B,C, 大学院)、解析学IIIB(秋A,B,C, 大学院)、数学セミナーB(秋A,B,C, 大学院教育研究科)です。シラバスはここここから。

今年度から、講義ごとではなく週ごとに講義情報を掲載します(作業を簡易化するため)。

微分方程式(4月15日):
常微分方程式の定義と1階正規型方程式の幾何学的意味(解=積分曲線)。

解析学IIIA (4月15日):
複素関数列の広義一様収束の定義。
正則関数の広義一様収束極限は正則であることの証明。

微積分I (4月16日):
初回なのでガイダンス。大学での数学の勉強では「とは」と「なぜ」がキーワードであること。
関数の連続性の定義(イプシロン・デルタによる正式な定義は春学期の後半で)、
閉区間上の連続関数の性質(中間値の定理、最大値・最小値の存在)、
中間値の定理の応用として、有界閉区間上で(狭義)単調増加な連続関数の値域が、
ふたたび閉区間となること(証明はプリントで)、
逆関数の定義とその連続性についてもプリントで。
レポート課題を出した。締切は22日。

追記:微積分I のレポート問題は次の通り。
(1) 閉区間[a,b]において(狭義)単調増加な関数は1対1であることを示せ。
(2) 閉区間[0,1]を定義域とする(狭義)単調増加な関数 f であって、
その値域が[f(0),f(1)]でないものの例を挙げよ。
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