研究ブログ

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府大集合論定例セミナー:10月4日から開始します(毎週木曜日)

前期の「府大集合論月曜セミナー」の継続として、下記の要領で「府大集合論定例セミナー」を行います。

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府大集合論定例セミナー(2012年度後期)

日時:毎週木曜日 13:00--16:00    14:45--17:45 ←【変更:9月24日】
場所:大阪府立大学中百舌鳥キャンパス A14-322講義室
開始日:2012年10月4日(木)

テーマ:M1学生による集合論テキスト講読(テキスト未定)、および、集合論研究者による話題提供と討論

対象:集合論・数理論理学を学んでいる学生、集合論・数理論理学の研究者、その他、集合論に興味のある方ならどなたでも。
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みなさまのご参加をお待ち申し上げます。お問い合わせは嘉田まで。

(注)関西集合論セミナとは別のイベントです.
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府大集合論(月曜)セミナー:2012年9月以降の予定

2012年度前期の府大集合論月曜セミナーは8月6日まで行います。
2012年7月の予定)(2012年8月の予定

2012年度後期の府大集合論(月曜)セミナーは,
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毎週木曜日 (9月27日から) 【10月4日から】13:00から16:00頃まで
大阪府立大学中百舌鳥キャンパス A14-322講義室にて
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行う予定です。
引き続き、みなさまのご参加をお待ち申し上げます。

お問い合わせ、ご要望、話題提供者のご推薦は嘉田まで。

# 後期のセミナーの名称は検討中です。
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府大集合論月曜セミナー:2012年8月の予定【追記:8月6日時間変更】

府大集合論月曜セミナーの2012年8月の予定をお知らせします。(7月の予定はこちら

8月6日(月) A13-323室
13:15-15:00  14:00-16:00 田尻翔平(大阪府大M1):Kunen "Set Theory" 講読
15:15-16:15 (話題提供者募集中)

話題提供してくださる方を随時募集しています。
ご参加のお申し込み、お問い合わせは嘉田まで。

【追記】(8月5日)
8月6日の時間を 14:00-16:00 に変更します。
また、8月6日の第2部は話者のご推薦がなければ休止します。
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府大集合論月曜セミナー:今後の見通し

府大集合論月曜セミナーは、7月30日までは 8月6日まで 毎週月曜日13:15-16:15にA13-323室で行います。
Kunen本の講読の進捗によって、8月にも何回か行うかもしれません。
9月はお休みです。

10月以降の予定は未定ですが、現時点では、4〜7月と同様に、月曜日の午後にA14棟またはA13棟の教室を確保して行うことを考えています。
開催曜日時間、内容、その他ご希望やご提案がありましたら、嘉田にお知らせください。

(7月9日追記)後期月曜日午後の開催は困難であることがわかりました。開催曜日時間を調整中です。
曜日によっては、9月最終週から開始するかもしれません。
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府大集合論月曜セミナー:7月2日第2部の話題(題目・概要)

7月2日(月)府大集合論月曜セミナー第2部では藤田博司さん(愛媛大)に話題提供をお願いしています.
タイトルとアブストラクトは次のとおりです.


■タイトル:二重ラムゼイ性が成立しない本当の理由
■マクラ:非単項超フィルター
ωの冪集合は、位相的にはカントール空間、測度的には無限回コイン投げに対応する確率空間とみなされる。
この意味で、ω上の非単項超フィルターはベールの性質を持たず、不可測である。
■本題1:[ω]^ω上の無限ラムゼイ性について。
ボレル集合はラムゼイ性を持つ。
ラムゼイ性をもたない集合を与えるには選択公理あるいはそれに類する原理を必要とする。
非単項超フィルターが存在すれば、それをもとにラムゼイ性をもたない集合を与えることができる。
■本題2:二重ラムゼイ性は成立しない。
[ω]^ω × [ω]^ω のボレル集合に関する二重ラムゼイ性は成立しない。
その反例を挙げ、「ラムゼイ超フィルターを添加する強制法」との関係を指摘する。


6月18日6月25日7月9日以降 7月23日以降 の第2部話題提供者のご推薦を引き続きお待ちしています.
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府大集合論月曜セミナー:2012年7月の予定

府大集合論月曜セミナーの2012年7月の予定をお知らせします。(6月の予定はこちら

7月2日(月) A13-323室
13:15-15:00 田尻翔平(大阪府大M1):Kunen "Set Theory" 講読
15:15-16:15 藤田博司(愛媛大):TBA  二重ラムゼイ性が成立しない本当の理由

7月9日(月) A13-323室
13:15-15:00 田尻翔平(大阪府大M1):Kunen "Set Theory" 講読
15:15-16:15 柄戸正之:TBA  Results on the structure of the Tukey ordering

7月23日(月) A13-323室
13:15-15:00 田尻翔平(大阪府大M1):Kunen "Set Theory" 講読
15:15-16:15 (話題提供者募集中)  柄戸正之:Results on the structure of the Tukey ordering (2)

7月30日(月) A13-323室
13:15-15:00 田尻翔平(大阪府大M1):Kunen "Set Theory" 講読
15:15-16:15 (話題提供者募集中)  柄戸正之:Results on the structure of the Tukey ordering (3)

話題提供してくださる方を随時募集しています。
ご参加のお申し込み、お問い合わせは嘉田まで。
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府大集合論月曜セミナー:2012年6月の予定

府大集合論月曜セミナーの2012年6月の予定をお知らせします。(5月の予定はこちら

6月4日(月) A13-323室
13:15-15:00 田尻翔平(大阪府大M1):Kunen "Set Theory" 講読
15:15-16:15 依岡輝幸(静岡大):Egbert Thuemmel による Horn-Tarski の問題の否定的解決(アブストラクト
※ 終了後17:30頃から懇親会(予定)

6月11日(月) A13-323室
13:15-15:00 田尻翔平(大阪府大M1):Kunen "Set Theory" 講読
15:15-16:15 (話題提供者募集中)
15:15-16:15 嘉田勝(大阪府大):An Introduction to Set-Theoretic Real Analysis (2)

6月18日(月) A13-323室
13:15-15:00 田尻翔平(大阪府大M1):Kunen "Set Theory" 講読
15:15-16:15 (話題提供者募集中)
15:15-16:15 嘉田勝(大阪府大):東京スカイツリー開業記念・タワーの高さと基数の冪のお話

6月25日(月) A13-323室
13:15-15:00 田尻翔平(大阪府大M1):Kunen "Set Theory" 講読
15:15-16:15 (話題提供者募集中)
15:15-16:15 青山邦広(大阪大):TBA  関数空間のindependent familyと線形次元
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府大集合論月曜セミナー:今後の第2部話題提供者

今後の府大集合論月曜セミナー第2部(集合論研究者による話題提供)の予定をご案内します.

5月21日  大須賀昇:TBA  Almost disjoint families of bounded functions

5月28日  (未定:話題提供者募集中) 大須賀昇:Almost disjoint families of bounded functions (2)

6月4日  依岡輝幸(静岡大):Egbert Thuemmel による Horn-Tarski の問題の否定的解決
(アブストラクト)
「sigma-finite chain condition を持つ Boolean algebra は、sigma-bounded chain condition を持つか」という問題が Horn-Tarski の問題です。
この問題は、von Neumann による測度問題(The Scottish Book 163 番の問題だそうです)の研究から派生して生まれ、およそ60年間、先日まで未解決でした。
 Egbert Thuemmel 氏は、Horn-Tarski の問題の反例を与え、否定的に解決しました。
今回は、その反例を解説したいと思います。

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5月28日および6月11日以降の第2部話題ご提供のご応募,ご推薦を引き続きお待ち申し上げます.

府大集合論月曜セミナーは毎週月曜日の午後に行っています.標準的なタイムテーブルは次のとおりです.

会場:大阪府立大学中百舌鳥キャンパス A13棟323室(講義室B)

13:15-15:00 第1部:大学院生(田尻翔平さん)による集合論テキスト講読
15:15-16:15 第2部:集合論研究者の持ち回りによる話題提供
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写像の始域/終域,定義域/値域,そして逆写像の存在

「論理と集合から始める数学の基礎」では,写像に関する諸概念と逆写像についての記述を,他の多くの教科書とはあえて違えています.

一般的な教科書でよくある写像の記述のしかたとして
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 f: RR
 f(x) = x2
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というのを例として取り上げて,考えてみます.
この写像 f の「定義域」は R で,「値域」は非負実数全体の集合,というのは,どの教科書にも書いてあります.でも,これだけ説明して終わりだとしたら,ものすごく大きな欠陥があります.次の疑問に答えられないからです.
  • 「f: RR」の矢印の右の R は「値域」ではない.では,それを何と呼ぶ?
  • そもそも矢印の右の R という集合は(f にとって)どういう意味がある?
前者の疑問については,「それは『終域』と呼ばれる」というのがいちおうの答ですが,それだけではまともな答とはいえないでしょう.次のさらなる疑問に答える必要があります.
  • 「終域」と対をなす概念(「f: RR」の矢印の左の R )は「始域」であるはずだ.「始域」と「定義域」は同じなのかそれとも違うのか? 違うとしたら何がどう違うのか?
  • そもそも f という写像に対して「終域」と「値域」という2種類の属性の両方を考えることにどういう意味がある? 「始域」と「定義域」については?

しかし,これらの疑問にまともに答えている初等集合論の教科書記述を私は見たことがありません.特に2番目の疑問にきちんと答えられないようでは「全射」の定義が無意味になってしまいます。


「論理と集合から始める数学の基礎」では,上述の疑問を次のように解決しています.

  • f: RR の左の R を「始域」,右の R を「終域」と呼ぶ.
  • 写像の始域と終域は個々の写像に付随する属性というより,むしろ,その写像を議論しようとする文脈によって規定されていると捉える.
  • 写像の定義域と値域は,個々の写像に付随する属性である.
  • 「部分写像」というコンセプトを積極的に導入する.部分写像とは,定義域が始域の部分集合であればよい(始域の要素に対して「未定義」を認める)というもの.部分写像を広義の写像概念と捉える.
  • したがって,始域と定義域,終域と値域は当然異なる概念である.また,始域と終域,定義域と値域がそれぞれ対をなす.
  • 定義域が始域と一致しているものは「全域写像」と呼ぶ.全域写像を狭義の写像概念と捉える.
  • 「全域写像」や「全射」というコンセプトは,個々の具体的な写像がもつ性質というより,文脈との関係,つまり「その写像がどういう文脈で扱われているか」に依存して定まる性質である.

また,それに伴って,逆写像についての立場も一般的な教科書とは異なり,次のようになります.

  • 単射でない写像には逆写像は定義されない.逆対応が多価になる(また,逆対応から値を選択して1価対応を作り出す一般的な方法が存在しない)から.
  • 単射には逆写像が存在する(逆対応が1価だから)が,一般にはそれは部分写像となる.
  • 全単射には逆写像が存在し,しかもそれは全域写像である.
  • 狭義の写像(全域写像)の範囲でのみ議論する局面では「全単射についてのみ逆写像を考える」という立場をとる.通常の数学の立場はそれ.
いかがでしょうか.
 この立場にはいろんな異論(^^;)があるかと思いますが,ご意見がありましたらコメントでお寄せください.

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(5月15日追記)
そういえば「恒等写像」も写像自体でなく文脈との関係で定まるコンセプトですね(嘉田はそう捉えています)。x |→ x という対応を「集合 A から集合 A 自身への写像」と捉えれば恒等写像、「A⊂B として、集合 A から集合 B への写像」と捉えれば「包含写像」。
文脈の意味規定力を過小評価して「個々のオブジェクトの定義」に文脈情報を押し込もうとするのは、やっぱり筋が悪いと思います。
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