研究ブログ

ワークショップ「中近世キリスト教と知の継承」開催記録

 2024年5月31日と6月1日に若手研究者によるワークショップ「中近世キリスト教と知の継承」を早稲田大学戸山キャンパスにて開催いたしました。
 2019年度末にコロナ禍が始まって以降、2022−23年に至るまで多くの学会や研究会がオンラインとなり、若手研究者間の交流は著しく制限されていました。もちろんオンライン形式には多くの利点もありましたが、対面での議論によってしか得られない果実が多くあることもまた論を俟たないでしょう。
 本ワークショップは、ある程度まで専門・関心を同じくする中近世キリスト教史の若手研究者12名が集い、それぞれの研究を発表し、質疑応答を行いました。発表内容は完成された事例研究から仮説の提示、研究構想の整理まで様々な段階のものでしたが、いずれも充実したものであったように思います。また、質疑応答はどの発表でも活発であり、コーヒーブレイク中にも各所で議論が継続されました。
 大きな学会の合間での開催にも拘らず、報告をお願いした全ての方に参加をご快諾頂きました。特に阿部晃平さん・藤田風花さん・林賢治さんには、報告のみならず企画の具体化・運営に携わっていただきました。また、早稲田大学大学院修士課程の方々にも運営補助を務めていただきました。主催側を代表して改めてお礼申し上げます。
今回のワークショップを経て、今後実り多い研究が生まれるよう祈っております。

プログラム「中近世キリスト教と知の継承」.pdf


ワークショップ「中近世キリスト教と知の継承」

開催日時:2024年5月31日(金)/2024年6月1日(土)
開催場所:早稲田大学戸山キャンパス33号館16階第10会議室(両日)

第1日:5月31日金曜日
13:45 ~ 開会挨拶と趣旨説明
13:50 ~ 参加者の自己紹介

(午後の部)
14:00 ~ 14:50 阿部 晃平(立教大学大学院)
初期中世におけるオリゲネス『雅歌註解』伝承の再検討
14:50 ~ 15:40 長澤 咲耶(東京大学大学院/日本学術振興会特別研究員DC1)
「正」と「不正」−ルートヴィヒ敬虔帝の公的贖罪をめぐる考察−

16:00 ~ 16:50 上遠野 翔(東京大学大学院)
「同意をもたらすための共働」:サン=プルサンのドゥランドゥスにおける信仰と学知の共存可能性をめぐって
16:50 ~ 17:40 前田 星(広島修道大学准教授)
近世ドイツにおける神学・悪魔学と刑事司法の交錯

18:00 ~ 懇親会

第2日:6月1日土曜日

(午前の部)
09:00 ~ 09:50 荻野 美櫻子(東京大学大学院/日本学術振興会特別研究員DC1)
8−9世紀キリスト教神学者から見たイスラーム
09:50 ~ 10:40 清水 悠佑(早稲田大学大学院)
ビザンティン典礼用福音書写本の形成と発展

11:00 ~ 11:50 太田 英伶奈(早稲田大学文学学術院助教)
中期ビザンティン献呈銘文における発話主——パリ74番写本の場合——
11:50 ~ 12:40 林 賢治(アルベルト・ルートヴィヒ大学フライブルク博士課程)
12世紀ザルツブルクのアウグスティヌス律修参事会員によるベネディクト会系慣習律の受容:オーストリア国立図書館1488番写本の分析

12:40 ~ 14:00 昼食休憩

(午後の部)
14:00 ~ 14:50 久納 早智(広島大学大学院)
13世紀マリョルカ王国におけるプロトコルの作成と管理:ECR第341番、第342番、第343番の層位学的検討
14:50 ~ 15:40 藤田 風花(大阪公立大学特別研究員/日本学術振興会特別研究員PD)
オスマン領キプロスにおけるカトリックの宣教活動

16:00 ~ 16:50 纓田 宗紀(東京大学特任研究員/日本学術振興会特別研究員RPD)
はだしの王さま:ドイツ王ウィレムと贖宥状
16:50 ~ 17:40 白川 太郎(早稲田大学文学学術院助教)
聖書釈義・説教・識別:13−14世紀フランチェスコ会の聖人伝における「預言」をめぐって


本ワークショップの開催は、早稲田大学・特定課題研究助成2024E-008の一環として行われたものです。