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絶対値記号|y|のはずし方

はじめに

|y|のように文字式に対する絶対値について質問されて、よくある勘違いがありそうだと思ったので、まとめておきます。

|y|の絶対値記号をはずす場合は、yが正か負かによって場合わけしますが、負の場合は|y|=−yとなり、マイナス記号をつけます。ここで「あれ?負の数の場合をマイナス記号を取るのではないの?なんでつけるの??」となるようです。

具体的な数字の場合

まず、文字式ではなく、具体的な数字で考えましょう。|2|=2で、|−3|=3のようになりますが、これを「正の数の場合はそのまま、負の数の場合マイナスをとって記号をはずす」と覚えていると、勘違いの元になります。そうではなくて、「正の数の場合は+1、負の数の場合は−1を掛けて記号をはずす」と理解しましょう。もうちょっと短く書けば「+1または−1か、同じ符号のものかける」です。そうすれば、|2|=+1×2=2ですし、|−3|=(−1)×(−3)=3となります。

文字式の場合

|y|のように文字式の場合を考えましょう。この場合、yの値に応じて場合わけが必要ですが、さっきのルールはそのまま使えます。つまり、yが正なら+1を掛けるので、|y|=+1×y=yとなります。yが負なら−1を掛けるので、|y|=(−1)×y=−yとなります。

正の数の場合、「そのまま記号をはずす」に比べ、わざわざ「+1を掛ける」のは面倒だと感じられるかもしれませんが、そのおかげで「+1か−1を掛ける」と、全体としては短いルールにまとめられます。

そもそも「マイナスをとる」というのは数学的な演算ではなく、しかも、文字式の場合にはとれるマイナスがついていないので、汎用的でもありません。一方で「+1か-1を掛ける」というのは四則演算ですし、文字式にも安心して使えます。

関連のエントリ

この根底にあるアイデアは、「−1を掛けることは方向を逆にする」ということです。同様のエントリが以下にあるので、詳しくしりたい方はどうぞ。
情報って何?(4):カッコはいつ取るの?(リンク)
役立つかどうかではなく、役立てられるかどうかだ!(リンク)