研究ブログ

「小学生に教えるフーリエ変換」再び!

■はじめに

もうかなり前(2018年8月)になってしまいますが、久しぶりに小学生を対象にフーリエ変換(の基本アイデア)を教えるイベントをやりました。前回は2013年度(2014年3月)に近所の小学校6年生を10名ほど集めて実施した「小学生に教えるフーリエ変換」ですが、今回はなんとパワーアップ(?)して、決断科学の学生さんが主催する一般向けのイベントとして、キャナルシティ博多のMUJIのスペースを借りてやりました。内容やイベントの進め方で、いろいろと考えたり、感じたりしたことをまとめておきます。

高校生や中学生向けには、時々模擬授業の依頼がくるので、同じ内容をベースにした内容を話すことがあるのですが、小学生には4年半ぶりくらいになります。依頼もないのに、わざわざ開催したいと思ったのは、うちの子どもが小学6年になるタイミングだからです。前回は長男と次男が6年のタイミングで、今回は三男です。また、このネタの話を知り合いにしたら、東京と北海道からも参加したいという人がいてので、夏休み時期の開催となりました。

イベントの様子は研究室のニュースのページにあります。また、イベントの資料(PDF)と、使ったアプリ(JavaScriptが使えるブラウザでどうぞ。ただしEdgeでは動かないかも)はこちらです。

■これまでの問題点

ブロックの形(の情報)を遠くに送りたいという問題設定にした上で、ブロックの高さをそのまま送るのではなく、様々な「平均」を送る、というのが話しのおおざっぱな流れになります。平均の概念は5年生の冬くらいに習うので、小学校の高学年であれば理解できることになります。

一方で、模擬授業を始め、いろんなイベントで活躍しているウォーターパールの説明が不十分という問題点がありました。ウォーターパールについては、こちらのエントリ「ウォーターパールの仕組み」をご覧ください。このページには動画もあり、これらを見てもらえばなんだか凄そうというのが分かってもらえると思います。実際、話が難しくて消化不良だった時にも、これを見せておけば大満足(!?)というもので、かなり重宝します。

「ウォーターパールの仕組み」にも書いたように、これはある現象の周波数(ウォーターパールでは水滴が落ちる間隔)と、それを見る周波数(ウォーターパールではマルチストロボの間隔)の二つにより成立する現象で、フーリエ変換を習うときにはだいたい習うサンプリング定理(標本化定理)と深い関係があります。ただ、「平均」として話しをしたものの、周波数のことには軽くしか触れていないため、ウォーターパールの仕組みは軽く紹介する程度でした。

■「波」を前面に押し出す

上述したように、今回は遠方からの参加者がいるため伊都キャンパス(は、中心部からだいぶ遠いのです)ではなく、天神や博多駅など中心部にしたいという思いがありました。それで、すでにキャナルシティでの一般向けイベントの実績があった決断科学の学生さんによる「サイエンスカフェ部」に相談して、キャナルシティのMUJIでやらせてもらえることになりました。「サイエンスカフェ部」でのイベントなので、まず、学生さんに趣旨の説明をして、それをもとに彼らが企画書を作るという流れになるので、まず、彼らにどんな内容なのか説明します。ここで、その学生さんの意見で、「波」を中心にしたストーリーにしよう、という話しになりました。

もともと、波の概念を小学校向けに説明するのは難しいと私が無意識に思っていたようで、当初はあまり乗り気ではありませんでした。しかし、リハーサルにつきあってくれた決断科学の学生さんや先生は、完全に専門外だったので、この人たちに向けに説明した上で、いろんなダメ出しをもらって、内容を修正して、最終的に「タイミング」という切口で説明するようにしてみました。

■今後の課題

ウォーターパールとの関連はよくなったものの、まだ、説明が多い気がしています。もっと子供たちが自分で考えるようにできるような工夫をすると、もっと楽しんでもらえそうです。