研究ブログ

役立つかどうかではなく、役立てられるかどうかだ!

複素数などを数学の様々な概念など、直接使わないから役に立たないという人は多いような気がします。複素数までいかなくても、負の数のかけ算でも、マイナスとマイナスをかけると正になるというのがワケワカラン、みたいな話しは時々ききます。こういうことを言う人はたいがい、社会にでたらそういうのは使わないんだから、無駄なことをさせるな、ということも言います。しかし、結論からいうと、こういう人は、知識を役立てられなかったんだろうと思います。

このエントリを書く直接のキッカケは、あるソフトを使わない理由をブログにまとめてあるのを、たまたま見つたから。そこには「大学を卒業したら会社では使わない」という理由がありました。具体的なソフトは書きませんが、別のソフトで同様のことができるじゃん、と書いてありました。私は、使わなくなったソフトの裏には、考え方として知っておくと非常に重要じゃないかなというのがあると思っていますが、その人はそこまでの考えには至らなかったようです。

上述のマイナス×マイナスでいうと、「負の数」というのが存在すると考えるのではなく、向きが反対と考えるとすっきり理解できます。つまり、例えば、5×(-1)を、5を反対の方向に向けると考えるわけです。文章だけだと分かりづらいので、絵を貼っておきます。
$e^{i\theta} = \cos\theta + i\sin\theta$)として習います。つまり、負の数や虚数が存在しないと考えるのではなくて、任意の向きを持った数字を考えると、より自然な体系化ができると考えられるかどうだと思います。

もちろん、自分も全てのことを学ぶわけにはいかないし、興味などに応じて選択はしているんだけど、比較的、いろんなものに首をつっこんでいます。その裏には、「役に立つかどうかは、現時点の自分では判断できない」という思想もあります。つまり、上のような虚数の理解ができたのは、大学生になってからで、それまで負の数に関しても理解できていなかったわけです。しかし、いま理解できなくても、そのうち...と思うあたりは、本質的には楽観主義なのかもしれません。

また、これを書く間接的なキッカケは、少し前に久しぶりに「荘子」を読んだからかもしれません。人間の小さな尺度で有用かどうかを判断するのねえ、という感じがまだどこかに残っているのかも。