エレクトリカル・ジャパン(発電所マップ+夜景マップ)を公開中です
最近、空き時間を投入して進めてきたプロジェクト(グーグル風に言えば20%プロジェクト?)があります。それがエレクトリカル・ジャパン - 発電所マップと夜景マップから考える日本の電力問題です。7月20日に公開して以来、少しずつ改善を進めています。
このサイトは、東日本大震災以来の電力問題を考えるための基礎データとして、全国の発電所データを整理しようという考えのもと、始まったものです。ネット上に存在する発電所データベースはどれも部分的なもので、種々の発電方式を対象に全国を網羅したようなデータベースは見つけられませんでした。「ないなら自分で作ろう」と思いました。特に、地球の夜のあかりと電気エネルギー問題で紹介した「夜景マップ」と重ねて、電力供給と電力消費を比較するというアイデアが最初からありましたので、できるだけ多くの発電所を地図にマッピングすることを基本方針としました。
しかしまあこれが始めてみると大変な作業で、なぜこういうデータベースが存在しないのか、がわかる気がしました。その苦労については発電所データベースにまとめましたのでここでは繰り返しませんが、未だにデータの修正は続いていて完成とは言えない状況です。ただし、徐々に大きな誤りはなくなりつつあり、使える状態にはなってきています。
さて、データベース活用機能に関するアイデアはいろいろありますが、現状ではデータそのものの整備に時間を割いているために、機能の向上は後回しになっています。ただし簡単な検索機能はすでに提供しています。例えば電力会社・発電方式絞り込み検索では、東京電力の発電所の一覧や、原子力発電所の一覧(下図)などを見ることができます。また発電方式・発電出力絞り込み検索では、発電方式ごとにどのような大きさの発電所が多いのかなどを調べることができます。火力や原子力に比べて、再生可能エネルギーである風力や太陽光の出力がいかに小さいのかなどを実感することができます。さらに名前で検索する機能として、発電所名・事業者名検索(一覧表示)と発電所名・事業者名検索(個別表示)があります。それぞれ機能は微妙に異なりますが、使ってみればわかると思います。
さて、この発電所マップを見ると、ほとんどの人が異口同音に同じ感想を漏らします。「日本に水力発電所がこんなに多いなんて知らなかった」という感想です。発電所データベースにはすでに1933箇所の水力発電所を登録しています(下図)。全国くまなく存在する水力発電所の分布から、先人達がどれだけ水力エネルギーを利用したかったのかが伝わってくるでしょう。もちろんその過程では、水力発電のみが原因ではないとしても、多くの村々がダムの湖底に沈むという犠牲があったことを忘れてはなりません。そのような多大な努力と犠牲の上に開発されてきた水力エネルギーですが、現在では全発電量(実績)の10%程度を占めるに過ぎなくなりました。主力は火力と原子力に移っていったのです。
その原子力が大きな問題を起こしたいま、将来のエネルギー構成をどうしていくかが活発な議論の的となっています。この問題については改めて考えてみたいと思いますが、大事なことはデータを基に議論を整理することでしょう。世間には非常に混乱した議論も見受けられます。短期と長期の区別、ピーク電力とベース電力の区別、集中型と分散型の区別、議論の前提を揃えておかないとかみ合わない議論が続きます。理想論かもしれませんが、わかりやすいメッセージを言うだけではなく、実現可能性やその道筋などをきちんと明確にすること。そのための基礎となるデータを、いろいろな機関や人々が整備して、どんどんネット上で公開してほしいと願っています。
最後に個人的なことを少し。私は実は電気・電子工学科の出身なのですが、そういう出身でありながら電気のことを忘れつつあった自分を反省するためにデータベースを作りながら少しずつ勉強しており、それが目的の一つになっているという面はあります。そして、さらに個人的なことですが、私には実は「鉄塔萌え」なところがあります。育った家から鉄塔が見えたということが主な原因だと思うのですが、「あの鉄塔はどこにつながっているんだろう」「あの鉄塔の形は変わっているな」と、鉄塔が視界に入るたびに視線が動いてしまうのですよね。鉄塔がつながる発電所が気になる。そういうこともあって、この発電所データベースはやや趣味も入ったものなのかもしれません。
いずれにしろ、20%プロジェクト&震災プロジェクトとして、今後もこのサイトは少しずつ発展させていこうと考えています。最新情報は@electricalJapanへ、またデータ修正・追加にもぜひご協力下さい。
このサイトは、東日本大震災以来の電力問題を考えるための基礎データとして、全国の発電所データを整理しようという考えのもと、始まったものです。ネット上に存在する発電所データベースはどれも部分的なもので、種々の発電方式を対象に全国を網羅したようなデータベースは見つけられませんでした。「ないなら自分で作ろう」と思いました。特に、地球の夜のあかりと電気エネルギー問題で紹介した「夜景マップ」と重ねて、電力供給と電力消費を比較するというアイデアが最初からありましたので、できるだけ多くの発電所を地図にマッピングすることを基本方針としました。
しかしまあこれが始めてみると大変な作業で、なぜこういうデータベースが存在しないのか、がわかる気がしました。その苦労については発電所データベースにまとめましたのでここでは繰り返しませんが、未だにデータの修正は続いていて完成とは言えない状況です。ただし、徐々に大きな誤りはなくなりつつあり、使える状態にはなってきています。
さて、データベース活用機能に関するアイデアはいろいろありますが、現状ではデータそのものの整備に時間を割いているために、機能の向上は後回しになっています。ただし簡単な検索機能はすでに提供しています。例えば電力会社・発電方式絞り込み検索では、東京電力の発電所の一覧や、原子力発電所の一覧(下図)などを見ることができます。また発電方式・発電出力絞り込み検索では、発電方式ごとにどのような大きさの発電所が多いのかなどを調べることができます。火力や原子力に比べて、再生可能エネルギーである風力や太陽光の出力がいかに小さいのかなどを実感することができます。さらに名前で検索する機能として、発電所名・事業者名検索(一覧表示)と発電所名・事業者名検索(個別表示)があります。それぞれ機能は微妙に異なりますが、使ってみればわかると思います。
さて、この発電所マップを見ると、ほとんどの人が異口同音に同じ感想を漏らします。「日本に水力発電所がこんなに多いなんて知らなかった」という感想です。発電所データベースにはすでに1933箇所の水力発電所を登録しています(下図)。全国くまなく存在する水力発電所の分布から、先人達がどれだけ水力エネルギーを利用したかったのかが伝わってくるでしょう。もちろんその過程では、水力発電のみが原因ではないとしても、多くの村々がダムの湖底に沈むという犠牲があったことを忘れてはなりません。そのような多大な努力と犠牲の上に開発されてきた水力エネルギーですが、現在では全発電量(実績)の10%程度を占めるに過ぎなくなりました。主力は火力と原子力に移っていったのです。
その原子力が大きな問題を起こしたいま、将来のエネルギー構成をどうしていくかが活発な議論の的となっています。この問題については改めて考えてみたいと思いますが、大事なことはデータを基に議論を整理することでしょう。世間には非常に混乱した議論も見受けられます。短期と長期の区別、ピーク電力とベース電力の区別、集中型と分散型の区別、議論の前提を揃えておかないとかみ合わない議論が続きます。理想論かもしれませんが、わかりやすいメッセージを言うだけではなく、実現可能性やその道筋などをきちんと明確にすること。そのための基礎となるデータを、いろいろな機関や人々が整備して、どんどんネット上で公開してほしいと願っています。
最後に個人的なことを少し。私は実は電気・電子工学科の出身なのですが、そういう出身でありながら電気のことを忘れつつあった自分を反省するためにデータベースを作りながら少しずつ勉強しており、それが目的の一つになっているという面はあります。そして、さらに個人的なことですが、私には実は「鉄塔萌え」なところがあります。育った家から鉄塔が見えたということが主な原因だと思うのですが、「あの鉄塔はどこにつながっているんだろう」「あの鉄塔の形は変わっているな」と、鉄塔が視界に入るたびに視線が動いてしまうのですよね。鉄塔がつながる発電所が気になる。そういうこともあって、この発電所データベースはやや趣味も入ったものなのかもしれません。
いずれにしろ、20%プロジェクト&震災プロジェクトとして、今後もこのサイトは少しずつ発展させていこうと考えています。最新情報は@electricalJapanへ、またデータ修正・追加にもぜひご協力下さい。