研究ブログ

「スタイン地名データベース」をオープン

このたび、スタイン地名データベースをオープンしました。



このサイトは、すでに「東洋文庫所蔵」貴重書アーカイブでデジタル化した2冊の本をいわば「マッシュアップ」して作成したものです。

今回対象としたのは、オーレル・スタインの2冊の本です。まずInnermost Asiaという本には、シルクロード(タリム盆地)地域の地図がありました。次にMemoir on Maps of Chinese Turkistan and Kansuという本にはこの地域の地名索引がありました。本来これらはセットになっているべきものですが、実際の本ではバラバラになっています。決して使いやすくはありません。

今回これらを統合するとともに、地名索引としての使い勝手を向上させるため、地名を選ぶとその地域の地図を表示するようにしました。地図にはGoogle Mapsを利用しているため、自動的に拡大地図を生成するのも簡単です。こうして、ウェブ時代にふさわしい(?)マッシュアップ地名索引が完成しました。

余談ですが、このスタインという探検家は非常にきっちりとした仕事をする人で、各種の索引なども丁寧に作成して後世に残してくれています。100年前、探検に伴って生み出された膨大なデータを、彼はどうやって整理していたのでしょうか。考えただけで気が遠くなりそうです。これだけの膨大な情報を整理する類稀な能力があったスタインのことです。もし彼が現代に生きていれば、ウェブの可能性をいちはやく見抜いて嬉々として使いこなし、シルクロードの壮大なデータベース構築に取り組んでいたのではないでしょうか。

スタインならどんな情報システムを作るだろうか、そんなことを想像しつつ、我々が構築するウェブ時代のシルクロードデータベースも日々着実に発展しつつあります。