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音羽山

2016423日は音羽山に登りました。紀友則「音羽山けさ越え来ればほととぎす梢はるかに今ぞ鳴くなる」、紀貫之「秋風の吹きにし日より音羽山峰の梢も色つきにけり」などで有名な、由緒ある地です。因みに清水寺縁起を描いた修羅物の能『田村』で坂上田村麻呂が妻の治療の為に鹿の血を求めて入り込んだのが音羽山ですね。観音菩薩の霊力を描いた物です。Fateに坂上田村麻呂が出て来たらきっと宝具は千手観音を呼び出してその千本の手から繰り出す武器ですね。クラスは「アーチャー」。

 

今からあの山に登ります。

 

ツバメHirundo rusticaは今盛んに飛翔しています。

 

 

麓には白石神社が。小さいですが大同年間に創建された由緒のある神社です。祭神は伊邪那岐尊と伊邪那美命、それと巨石信仰の白石大明神。

 

こちらは大きなスギCryptomeria japonicaの神木です。

 

そしてこちらが白石大明神。

 

 

登って行くと聴呪ノ滝が。後西園寺入道が「夕されば松吹く風の音羽川あたりも涼し山の下かげ」と詠んでいるように、本当に涼しいです。

 

夫婦ノ滝をバックに藤原定家が「音羽河雪げのなみも岩こえて関のこなたに春はきにけり」と詠んでいます。

 

 

音羽ノ滝では中務のみこが「鳴神の音羽の滝やまさるらん関のこなたの夕立の空」と詠んでいます。

 

大蛇塚もあって、これは牛尾観音に参拝する人を襲っていた大蛇が1313730日に観音様のお告げに従った内海浪之介景忠という武将の弓矢で退治されたことに因んだものです。

 

桜ノ馬場に着きましたよ。八重桜が咲いています。

 

大典顕常が漢詩を詠んでいますね。

 

オオルリCyanoptila cyanomelanaが南の国からやって来て鳴いていました。

 

 

 

こちらは牛尾山法厳寺(牛尾観音)。縁起は第11代垂仁天皇の御代まで遡り、元々は神社で山科全体の町の起源となったのでしたが、光仁天皇の御代に賢心(後の延鎮)が寺を建立したものです。詳しくはこちらを。

 

大杉堂では地元の山の神様の大杉坊大権現と八頭龍王尊を祀っています。

 

こちらがその御神木。

 

修理太夫顕季が「牛の尾や春はくるまにかつ消えてまだらにみゆる峯の白雪」と詠んでいます。

 

音羽山山頂に立つと山科や都が一望出来ます。

 

近江も見えますね。

 

逢坂の関に下りて来ました。神功皇后紀で武内宿禰が後の応神天皇と対立した忍熊皇子を破った場所ですね。武内宿禰は応神天皇とは鳥の名前を交換して自分たちの子に付けた伝承があるのですが、応神天皇の子供たちに鳥の名前が付いていることが多いのもこれに関係しているのかも知れませんね。

 

これはヒイロタケPycnoporus coccineusです。「お前を殺す」という声は別に聞こえて来ません。

 

 

ゴールの蝉丸神社に到着。京都弾丸出張の時は是非お越し下さい。諸芸道の祖神蝉丸と街道の守護神猿田彦命を祀っています。「これやこの行くも帰るもわかれては知るも知らぬもあふ坂の関」

 

植物は他にイチョウGinkgo biloba、ヒノキChamaecyparis obtus、ツガTsuga sieboldii、アカマツPinus densiflora、ネズミサシJuniperus rigida、アラカシQuercus glauca、シラカシQuercus myrsinaefolia、モチノキIlex integra、クロガネモチIlex rotunda、イヌツゲIlex crenata、トチノキAesculus turbinata、アセビPieris japonica、ドウダンツツジEnkianthus perulatus、ヤブツバキCamellia japonica、ヒサカキEurya japonica、アオキAucuba japonica、イロハモミジAcer palmatum、ウリハダカエデAcer rufinerve、リョウブClethra barvinervis、コタニワタリAsplenium scolopendrium、変形菌はシロススホコリFuligo candida、菌類はカワラタケTrametes versicolor、ザイモクタケOxyporus ravidus、シックイタケAntrodiella gypsea、クジラタケTrametus orientalis、地衣類はチズゴケ属Rhizocarpon sp.、昆虫はキムネクマバチXylocopa appendiculata circumvolans、モンキチョウColias erate、両生類はニホンヒキガエルBufo japonicus、爬虫類はニホントカゲPlestiodon japonicus、鳥は他にヒヨドリHypsipetes amaurotis、ツツドリCuculus saturatus、コシアカツバメHirundo daurica、ウグイスCettia diphone、シジュウカラParus major、ヤマガラParus varius、ヒガラParus ater、コガラParus montanus、哺乳類はニホンジカCervus nipponを確認しました。昼間でも鳥が意外に多かったので、早朝はバードウォッチングに格好の場所かも知れません。確かにどう見ても鳥見用のフィールドスコープのバズーカを担いだおばあさんがウロウロしていました。