日誌

2012年8月の記事一覧

官邸前抗議と中心性の回復


  以前twitterに官邸前抗議に参加して生きる意欲を取り戻した話を書いた。凍りついた絶望が、コールとドラムで溶けていった。それが何なのかを考え続ける。文化人類学者によればだが、スリランカの悪魔祓いの中には、「世界の中心にいるという感覚を失うことが病」だという考えがある。ワクワクする儀式を行い、自分がコミュニティの一員であることを取り戻させる。ワクワクしなければ、病は直らないのである。
  日本にも岩戸隠れの神話がある。岩戸に隠れたアマテラスを、神々は、祝詞をあげ、桶を踏み鳴らし、踊り狂い、大声で笑って導き出した。中心性を回復したのだ。それは人間の生に意味を与える力だ。物質にも気晴しにもその力はない。
  議会制民主主義が機能不全に陥ると、国民は、自分が中心から外れている、参加できていない、という感覚を抱く。政権交代させた与党が、マニフェストと真逆のことをすれば選挙は虚しい。それは「病」だ。その時に私たちは、中心性を取り戻す儀式を行う。明日も私たちは、都雀のさえずりに構わず、コールを上げ、ドラムを打ち鳴らし、地を踏んで踊り、大声で笑う。「私は雄弁の人ではなく、行動の人である。あなたはまず、チャルカを回せ」と言ったガンディーのように。ただ一つだけ念を押したいことがある。打ち手も、叫び手も、舞姫も必要だが、sacrificeは必要ない。そんなことにしてはいけない。我々の罪を、彼らに贖わせてはならない。

聞こえているか、週刊文春!