研究ブログ

2011年9月の記事一覧

弘前大学集中講義

先週の 7日から10日までの四日間、
弘前大学教育学部で集中講義をしてきました。
学生時代からたくさんのことを教えていただいている西澤さんに呼んでもらって、
教員志望の学生さんたちに数学の話をしてきました。
テーマは母関数。話の概要は以下の通りです。
  1. 組み合わせの数と二項定理

    母関数の考え方の導入として、二項定理を組み合わせの数の母関数として扱って、組み合わせの数の性質をいくつか証明する。登場する「母関数」(二項定理)は有限和なので、一番易しい。

  2. 数列の母関数

    二項間漸化式で定義される数列の一般項を、母関数と部分分数分解を使って求める話。母関数は一応、収束ベキ級数として扱うが、その辺りのきちんとした議論は省略して、ベキ級数の演算に慣れてもらうのが目的。形式的ベキ級数と思えばほとんど正当化できるので、それほど深刻にならなくても良い範囲の演算だけを扱った。ここで登場する母関数は有理関数で、分母があからさまに因数分解されているもの。

  3. フィボナッチ数列

    フィボナッチの母関数を計算して、部分分数分解をして一般項を求める。母関数は有理関数だが、分母が二次式であからさまには因数分解されていない場合。一般項を計算したおまけとして黄金比の話を少しだけ。

  4. カタラン数

    カタラン数の定義、カタラン数の漸化式と話をして母関数の計算。この母関数には平方根 (無理関数) が現れるので、解析関数のベキ級数展開が必要になる。その辺りの復習もしながら、カタラン数の一般項を求めて終了。
今回の集中講義では、出席・レポートだけで評価するのではなく、
講義中に学生さんに課題を与えて、帰宅後の時間や休み時間を使って考えてもらい、
黒板の前で発表をしてもらいました。
教員志望の学生さんたちということもあって、
とても良い雰囲気で議論ができていたように思います。
講義の後の時間も、学生さんどうしで集まって計算をしていたようで、
「青春だなあ良いなあ」などと思ったり。

西澤さんのブログでも講義の様子を紹介していただいています。
ほめられてるので、なんだか照れくさいのですが・・・

自分としては初のアウェーでの講義だったので、良い経験になりました。
0